波板コラム

波板の隙間からの雨漏りを防ぐコーキングとは?補修方法と注意点を紹介

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波板の隙間から雨漏りをコーキングで補修したいと考えている方もいるのではないでしょうか?

正しい方法でコーキングを行わないとさらに状態を悪化させることになるため、補修には注意が必要です。

本記事では下記の点を中心に解説していきます。

・波板からの雨漏りにコーキングの有用性
・波板の隙間を埋めるコーキングのやり方
・コーキングを行う際の注意点
・コーキング剤の種類
・波板の隙間を埋める際の業者の選び方
・コーキング以外の補修方法
・ポリカーボネートの波板の特徴

本記事を読むと波板のコーキングに対して詳しく理解でき、自宅の波板の隙間が引き起こす問題を解決しやすくなります。

ぜひ最後までお読みください。

Contents

波板の隙間からの雨漏りはコーキングで応急処置できる

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波板自体や波板の設置部分に生じる隙間を埋めるためにコーキングを活用するのは、有用な応急処置の方法です。

波板の断面は波のようなデコボコした形状であるため、建物の間に隙間ができやすく、雨漏りしやすいです。

波板のひび割れや釘穴のような小さな隙間からも雨漏りは発生します。

波板に生じた隙間をコーキングで埋めて雨漏りや虫、外気が入るのを防げます。

費用も安く手軽に補修できるのがメリットですが、あくまで応急処置であるという点に注意しましょう。

時間が経つとコーキングが剥がれ再発する場合がほとんどです。

早めの交換修理を行う必要があります。

波板の隙間を埋めるコーキングのやり方

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波板の隙間を埋めるためのコーキングでは、以下の工程で補修作業を行います。

・下準備
・養生
・施工
・乾燥

正しい手順を踏んでコーキングしないと施工不良の原因になるため注意が必要です。

下準備

雨漏りの発生原因を正しく判断し、コーキングを行う箇所を確認します。

波板の劣化が激しい場合には、交換修理が必要です。

補修箇所周辺は、コーキング剤がすぐに剥がれないようにブラシや雑巾で汚れを落とす必要があります。

養生

マスキングテープを補修箇所周辺に貼ることで、コーキング剤を使用する必要がない箇所への飛散を防ぎます。

住宅の外観を綺麗に保つためにも必要な工程です。

施工

コーキング剤を波板の隙間に流し込み塞ぎたい箇所を補修します。

コーキング剤を流した後は平らなヘラで整えてしっかりと隙間が塞がっているかを確認します。

乾燥

コーキング剤による補修が完了したら、マスキングテープを外し乾燥させます。

コーキング剤が乾燥するまでは、数時間〜数日触れないように注意が必要です。

乾燥期間は製品によって異なるため、各製品に付属の説明書を確認してみましょう。

また雨天では乾燥しづらかったり、コーキング剤が十分に付着しなかったりする可能性があります。

なるべく晴れて乾燥しやすい日に施工するのがおすすめです。

波板の隙間をコーキングする際の注意点

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波板の隙間をコーキングする際には下記のような注意点があります。

・DIYで波板の隙間をコーキングするのは危険
・コーキングで波板の隙間を埋めるだけでは不十分
・波板の材質にあったコーキング剤を使用する

コーキング剤を使用する際には必ず知っておくべきポイントです。

各ポイントについて詳しく解説します。

DIYで波板の隙間をコーキングするのは危険

DIYで波板の隙間をコーキングするのは危険であるため、おすすめしません。

波板の隙間や小さな穴を塞ぐだけなら簡単そうに見えますが、コーキングには専門的な知識が必要な場合も多いです。

コーキング補修を行ったことで、別の箇所に雨漏りを引き起こし、状態がさらに悪化する場合も考えられます。

波板は屋根などの高所に使われていることも多く、補修作業中に屋根から転落するリスクもあるため注意が必要です。

波板の隙間を埋めるだけのコーキングでも、なるべく専門業者への依頼をおすすめします。

コーキングで波板の隙間を埋めるだけでは不十分

コーキングを使った補修はあくまで応急処置であり、波板の交換修理やコーキング以外での補修が後々必要になることを覚えておきましょう。

補修後の数ヶ月間は穴が塞がれて雨漏りが直りますが、時間が経つと剥離し、不具合が再発してしまいます。

金属のサビなど経年劣化を止めることはできないため、コーキングで釘穴やネジ穴を塞いでも効果は一時的なものとなります。

コーキングで波板の隙間を埋める補修作業は、応急処置として考え、すぐに専門業者に相談し適切な処置を行ってもらうのがおすすめです。

波板の材質にあったコーキング剤を使用する

コーキング剤は波板の材質にあったものを使用する必要があります。

特に波板として使用されることの多いポリカーボネートの波板では、専用のコーキング剤を使用しましょう。

ポリカーボネートなどのプラスチック製の素材に合わないコーキング剤を使用すると、ひび割れを引き起こす場合があります。

また、波板の色とコーキング剤の色が合うかどうか事前にチェックしておきましょう。

色が合わないと施工後にコーキング剤が目立ち、波板の綺麗な外観を損ねてしまいます。

色も含めて波板の材質にあったコーキング剤を使用してください。

コーキング剤の種類

コーキング剤は、主成分の違いで大きく以下の5種類に分けられます。

・シリコン系
・変成シリコン系
・ウレタン系
・アクリル系
・ポリサルファイド系

それぞれ特徴や弱点、使える場所が異なるため、隙間をコーキングする前にチェックしておきましょう。

シリコン系

シリコン系は、洗面所や台所、浴室といった水回りで使われることが多いコーキング剤です。

耐久性と耐水性に優れています。

他のコーキング剤に比べて安価で手に入りやすいのも魅力です。

ただし上から塗装できないため、屋根や外壁などへの利用には向いていません。

カビに強い、寒さに強いなど、さまざまな商品があるのも特徴です。

変成シリコン系

変成シリコン系は、このあと紹介するウレタン系に機能性を追加したものです。

シリコン系とはまったくの別物なので、間違えないよう注意しましょう。

主に外壁で使われており、湿っているところでも使える万能なコーキング剤です。

ただしシリコン系に比べると耐水性に、ウレタン系に比べると密着性に劣ります。

また、塗料によっては変色してしまうのが注意点です。

ウレタン系

ウレタン系は、サッシやタイルの目地によく使われるコーキング剤です。

補修や塗装の下地に使われることも多くあります。

特徴は、防水性と密着性が高いことです。

一方で紫外線には弱いため、屋外で使う場合は塗装が欠かせません。

シリコン系と一緒に使うと乾燥しても適切な硬さにならないので、単体で利用しましょう。

アクリル系

アクリル系は、一昔前まで外壁のコーキング剤として多用されていました。

特徴は、水や紫外線に強い点と、カラーバリエーションが豊富なことです。

ただし耐久性は高くありません。

経年劣化によりひび割れが起こりやすいため、現在はあまり使われなくなりました。

他のコーキング剤に比べて費用が安いため、劣化しにくい内装で使われることはあります。

ポリサルファイド系

ポリサルファイド系は、内装や外装の目地、サッシまわりに使われることが多いコーキング剤です。

耐久性に優れており、ほこりやごみが付着しにくいのが強みです。

上から塗装すると変色や軟化の可能性があるため、塗料との相性を調べたうえで利用する必要があります。

独特のにおいがあるため、人によっては気になるかもしれません。

波板の隙間を修理する際の業者の選び方

波板を修理する際の業者の選び方には、3つのポイントがあります。

・エリアで検索する
・相見積もりで価格を比較する
・見積書の内容が具体的な業者を選ぶ

業者選びで失敗しないよう、ぜひ参考にしてみてください。

エリアで検索する

業者を探す際は、まずエリアで検索してみましょう。

波板の修理に対応している業者には大きく3種類あります。

・全国規模のリフォーム対応会社
・地域密着型の工務店やリフォーム会社
・地域密着型の波板専門業者

エリアで検索する際は、「お住まいの市町村名 波板業者」で検索してみてください。

近所に波板の修理経験がある友人や知人がいるなら、紹介してもらうのもひとつの手段です。

相見積もりで価格を比較する

業者選びの際は、複数の業者に見積もりを出してもらい、価格を比較するのがおすすめです。

同じ工事の内容でも、業者によって価格が変わります。

このときの注意点は、金額だけを見て、費用が極端に安い業者を選ばないことです。

あまりにも金額が安い業者は、手抜き工事をする恐れもあります。

業者選びで重要なのは、金額よりも適切な工事をしてくれるか、ストレスのないやり取りができるかです。

「この業者なら気持ちよく工事を依頼できそう」と思える業者を選びましょう。

なお相見積もりを取る業者が多すぎると、比較して選ぶのが大変になってしまいます。

そのため、多くても2社に抑えて、見積もりを依頼するのがおすすめです。

見積書の内容が具体的な業者を選ぶ

見積書を比較する際は、書かれている内容もチェックしておきましょう。

避けた方がいいのは「工事一式」のように具体的な内容が書かれていない業者です。

必要無いのに相場よりも費用が高い製品や不要な工程が盛り込まれている恐れがあります。

反対に、見積書の段階で詳細まで書かれている業者は、悪徳業者の可能性が低い傾向にあります。

金額だけを比較するのではなく、詳細まで記載されているかも確かめたうえで、業者を選んでください。

参考:優良業者の見つけ方

波板の工事をしてもらう際は、優良業者に依頼したい人がほとんどではないでしょうか?

優良業者であるか判断する基準は以下の5つです。

・建築業許可を持っている
・リフォームパートナー協議会(RECACO)に加盟している
・地元で長く営業している
・自社で職人を抱えている
・国家資格を持つ職人がいる

これらの情報は、各業者の公式サイトの会社概要などに記載されています。

加えて、過去の施工事例や代表者の写真といった情報が記載されている業者だと安心です。

波板の隙間をコーキング以外で補修する方法

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コーキング以外で波板の隙間を補修する方法は下記のとおりです。

・波板パッキンを取り付ける
・板金材を取り付ける

波板の隙間をコーキングで補修するのは、あくまで応急処置です。

それぞれの補修方法について解説します。

波板パッキンを取り付ける

波板パッキンとは、波板の形状に合わせたデコボコした発泡ポリエチレンの柔らかい素材のことです。

波板パッキンは波板と波板に被せる役物の間に挟んで使用し、下記の役割を担います。

・波板の隙間からの雨や風、虫の侵入を防ぐ
・波板と役物の密着性を高める

外部からの風雨や虫の侵入を防ぐために波板パッキンは有効です。

騒音を防止する効果もあります。

波板と約物との密着性を高め、波板自体への衝撃を緩和できるので耐久性も上昇します。

波板の隙間からの雨漏りでお悩みの方は、波板パッキンの設置を検討してみるのもおすすめです。

板金材を取り付ける

波板の隙間から発生する雨漏りは、コーキング以外にも板金材を取り付けることで補修可能です。

波板と壁の接合部分に「へ」の字に折り曲げた板金材と取り付けて雨の浸入を防ぎます。

板金剤はビスで壁に取り付けていきます。

波板を張り替える際にも板金材は再利用できるため、新しい波板に再度取り付ける必要は基本的にありません。

板金材の取り付けとコーキングでの補修を併せて行うと、より優れた雨漏り対策が可能です。

コーキングでの補修を行う際には、板金材の取り付けも検討してみてください。

波板の種類

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屋根に使われる波板の素材は5種類あります。

・ポリカーボネート製
・ガルバリウム製
・トタン製
・塩化ビニル樹脂製
・塩化ビニル樹脂製(ガラスネット入り)

それぞれの特徴を紹介します。

ポリカーボネート製

現在、使われる機会が多い印象があるのがポリカーボネートです。

特徴は、衝撃や気候の変化による劣化に強いことです。

落下物や気温の上昇、雨風による劣化がしにくいため、長く使い続けたい人に選ばれています。

耐用年数は10年ほどです。

透明性があるため、ベランダやテラスの屋根への使用にも向いています。

太陽光の明るさを取り入れられるうえ、洗濯物を干す際に乾きやすいのがメリットです。

また、他の素材に比べて価格が安定しています。

注意点は、裏表があることです。

裏表を間違えて使用すると、太陽光によって傷みやすくなります。

ガルバリウム製

ガルバリウム製は、工場の屋根に使われることが多い素材です。

耐用年数が15〜20年ほどと寿命が長く、強度と遮熱性に優れています。

ただし光が遮断されてしまうため、屋根に使うと暗くなってしまうのがデメリットです。

洗濯物が乾きにくくなるため、テラスやベランダでの使用には向いていません。

またポリカーボネート製に比べると価格が高いことも、家庭で使われにくい要因のひとつです。

トタン製

トタン製は、ガルバリウム製が普及する前まで金属製の波板として主流でした。

現在はトタン製の波板はほとんどなく、入手が困難な状況です。

トタン製の特徴は、衝撃に強く軽いことです。

ただし耐用年数は5〜7年ほどと短く、場所によってはより早く寿命がきてしまうこともあります。

サビやすい素材のため、特に潮風のあたる地域には向いていません。

塩化ビニル樹脂製

塩化ビニル樹脂製は、ポリカーボネート製が主流になる前によく使われていました。

柔軟性があり扱いやすいため、DIYで人気があります。

ただし紫外線や雨風によって劣化しやすいため、屋根材としては不向きです。

経年劣化によって硬化し、ボロボロになってしまいます。

耐用年数は2〜3年ほどです。

塩化ビニル樹脂製(ガラスネット入り)

塩化ビニル樹脂製(ガラスネット入り)は、先ほど紹介した塩化ビニル樹脂製に、強化ガラス繊維のネットを入れたものです。

塩化ビニル樹脂製に比べると、耐久性や強度が高まっています。

とはいえ、耐用年数は4〜5年ほどと長いわけではありません。

建築基準法では延焼しにくい素材として認められており、火災時の安全性に優れています。

波板のおすすめはポリカーボネート製

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波板としておすすめの素材はポリカーボネート製です。

耐久性や耐候性に優れているため、ベランダやカーポートの屋根材として使っても劣化しにくいためです。

ガラスの約200倍、アクリルの約30倍もの強度があるため、飛来物による破損にも耐えられます。

また透明な素材なので、日光を取り入れられるのも強みです。

ベランダやテラスなら洗濯物が乾きやすくなりますし、カーポートなら電気をつけずに車のメンテナンスができます。

ポリカーボネートの強度については下記記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。

【関連記事】
ポリカーボネートの強度はどれくらい?素材の特徴を徹底解説!

波板の隙間をコーキングする際によくある質問

波板屋根の破損
波板の隙間をコーキングする際によくある質問についてお答えします。

・雨漏り補修でコーキングが使用できない状況はある?
・ポリカーボネート波板の雨漏り補修はコーキングで十分?
・ポリカーボネート製波板の修理費用の相場は?
・コーキングとシーリングの違いは?

気になるポイントがある方はぜひ参考にしてみてください。

雨漏り補修でコーキングが使用できない状況はある?

雨漏り補修でコーキングが使用できない状況は下記のとおりです。

・瓦屋根などの下葺き材の防水紙が経年劣化している
・金属がサビて穴があいている

雨水を弾く防水機能を持った下葺き材(防水シート)が経年劣化により、破れたり、薄くなったりしている場合にはコーキングは使用できません。

コーキングして外部のひび割れを塞いでも、下葺き材(防水シート)の経年劣化が雨漏りの原因のケースもあるためです。

また金属によるサビで穴が空いている場合にも、コーキングは使用できません。

金属のサビは経年劣化により広がるため雨漏りが再発してしまう可能性は非常に高いです。

経年劣化がすすんだものは交換修理する必要があります。

ポリカーボネート波板の雨漏り補修はコーキングで十分?

コーキングだけでは、雨漏り補修は不十分な場合が多いです。

隙間がある場合には、波板パッキンや板金材の取り付けをおすすめします。

経年劣化によりひび割れや穴がある場合には、交換修理を検討しましょう。

ポリカーボネートの耐用年数は10年と言われています。

耐用年数が近づいている場合には、コーキングよりも交換修理を行った方が雨漏りに悩まされることも少なくなります。

耐用年数を考えて雨漏りを補修しましょう。

ポリカーボネート製波板の修理費用の相場は?

ポリカーボネート製波板の修理費用は5〜20万円ほどが相場です。

屋根の大きさや階層、現場の環境によって前後するため、詳しくは業者に見積もりしてもらいましょう。

なお、ポリカーボネート製の材料費は下記のとおりです。

・6尺:1,500~3,500円程度
・7尺:1,800〜3,800円程度
・8尺:2,100〜4,100円程度
・9尺:2,400〜4,400円程度
・10尺:2,700〜4,700円程度

以下のページでは施工事例と参考価格を記載していますので、ご自宅の波板と同じようなものを探しながらぜひご覧ください。

波板屋根の工事事例と価格

コーキングとシーリングの違いは?

コーキングとシーリングは、基本的には同じ意味で使われています。

以前は日本工業規格(JIS)でシーリング剤と油性コーキング剤としてそれぞれ定義されていました。

しかし、現在は油性コーキング剤が使われなくなったこともあり、日本工業規格(JIS)で廃止されています。

とはいえ、コーキングという名前が定着しているため、現場ではコーキング・シーリングどちらの表現も使われ続けているのです。

どちらの名称を使っても通じるので、違いや使い分けを気にする必要はありません。

波板の隙間のコーキング後は適切な補修を行おう

ポリカ屋根
波板の隙間を埋めるためにコーキングを行うのは、あくまで応急処置です。

波板が経年劣化している場合には交換修理が必要になります。

また波板と壁の接合部分にできた隙間を補修する際には、コーキングだけでなく波板パッキンや板金材を併用するのがおすすめです。

コーキングを含め波板の補修作業には専門的な知識や技術が必要になるため、DIYは控えて専門業者に依頼しましょう。

■関連記事
ポリカーボネート製の波板の特徴とは?施工費用やサイズなどを解説

内野 友和

この記事は私が書いています。

1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。

20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。

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