波板コラム
波板でおしゃれな小屋は作れる?張り方のコツや注意点を解説
「波板を使用した小屋を作ってみたい」
「波板の取り扱い方法を知りたい」
波板は扱いやすく耐久性にも優れているため、DIYの素材として人気があります。
しかし施工のポイントをおさえて使用しないと、強度不足により雨漏りなどの不具合が発生するリスクも高いため注意が必要です。
本記事では波板の張り方のコツや使用する際の注意点について解説します。
波板を使用した小屋作りを検討している方はぜひ参考にしてください。
Contents
小屋作りに適した波板とは
波板にはポリカーボネート製やガルバリウム製、トタンなどさまざまな種類があります。
そのなかで小屋作りに適した波板は、ポリカーボネート製の波板です。
ポリカーボネート波板は、他の波板と比較して扱いやすく、耐久性や耐候性に優れているため強度の高い小屋作りができます。
比較的価格が安価なところもポリカーボネート波板の魅力です。
ポリカーボネート波板の特徴
DIYやリフォームを行う際は、使用する素材の特徴を知ることも大切です。
小屋作りに適したポリカーボネート波板の以下の特徴を紹介します。
・ポリカーボネート波板のメリット
・ポリカーボネート波板のデメリット
・ポリカーボネート波板のサイズ
・ポリカーボネート波板の価格相場
ポリカーボネート波板の特徴を1つずつ確認していきましょう。
ポリカーボネート波板のメリット
小屋作りにポリカーボネート波板を使用するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
・耐久性、耐候性、耐衝撃性に優れている
・軽量で扱いやすい
・比較的安価に購入できる
ポリカーボネート波板は、耐久性や耐候性、耐衝撃性に優れているため長持ちする素材です。
軽量で扱いやすく比較的安価なため、リフォームやDIYで使用する素材としても人気があります。
ポリカーボネート波板のデメリット
ポリカーボネート波板のデメリットは、以下の2つが挙げられます。
・傷がつきやすい
・裏表がある
ポリカーボネート波板は、耐久性は優れているものの硬度が低いため、傷がつきやすい素材です。
ポリカーボネート波板には裏表があり、誤って張ると耐衝撃性や耐候性などの機能が十分に発揮できません。
そのため、施工時は注意を払いながら取り扱いする必要があります。
ポリカーボネート波板のサイズ
一般的に販売されている波板は、サイズが決まっている定尺品です。
ポリカーボネート波板の場合、幅は655mmで長さは1,820〜3,030mm(6尺〜10尺)の5つのサイズが展開されます。
3尺や4尺など小さいサイズが必要な場合は、自身で分割して使用する必要があります。
ポリカーボネート製やガルバリウム製など、波板は素材ごとにサイズの規格が異なるため、購入時は素材ごとのサイズ確認が必須です。
ポリカーボネート波板の価格相場
ポリカーボネート波板の価格相場は以下の通りです。
・6尺(幅655mm×長さ1,820mm):1,500~3,500円程度
・7尺(幅655mm×長さ2,120mm):1,800〜3,800円程度
・8尺(幅655mm×長さ2,420mm):2,100〜4,100円程度
・9尺(幅655mm×長さ2,730mm):2,400〜4,400円程度
・10尺(幅655mm×長さ3,030mm):2,700〜4,700円程度
波板の価格は、購入場所やメーカーなどによって異なります。
購入する際は、複数の波板を比較したうえで決めるのがおすすめです。
波板の張り方
波板の施工(張り付け)は、正しく取り付けないと施工不良をまねく原因となります。
波板を張る手順は、以下の通りです。
・波板をサイズに合わせてカットする
・張り付ける位置に合わせる
・留め具の位置に穴をあける
・留め具で波板を固定する
波板は定尺品のため、まずは必要なサイズに合わせてカッターでカットします。
1枚ではサイズが足りない場合、波板を重ね合わせて使用できます。
重ね合わせる場合は2.5山以上の重ね代が必要となるため、重ね代の分を忘れず考慮に入れましょう。
次に、張り付ける位置に合わせて位置を確認したうえで、留め具の位置に穴をあけます。
留め具穴は、ポリカーボネート波板の場合、穴あけキリで簡単に穴をあけることが可能です。
あとは、留め具で波板をしっかりと固定して完成です。
DIYで小屋を作るメリット
DIYとは「Do It Yourself」の頭文字を取った略語で直訳すると「自分自身でやる」という意味です。
DIYでも、ポリカーボネートの波板を使って小屋を作ることができます。
DIYで小屋を作ることには多くのメリットがありますので、一つひとつ見ていきましょう。
コストを抑えられる
DIYで小屋を作ることによって、施工にかかるコストを抑えることができます。
業者にお願いするとできあがる小屋のクオリティや強度は高いのですが、プロが作る分価格は高くなってしまいます。
DIYで小屋を作れば、時間や手間はかかりますが費用を抑えることは可能です。
施工にかかる費用を抑えることもできますが、材料の調達費用も柔軟に抑えることができます。
たとえば予算をオーバーしそうなときは材料を変更したり完成形を少し変更したりすれば、予算内に材料費を抑えることもできます。
ただしコストカットしすぎると耐久性に不安が生じるケースもあるため、バランスには注意が必要です。
自由に設計できる
DIYで小屋を作るメリットのひとつに、自由な設計ができることが挙げられます。
業者にお願いして小屋を立てるときにはある程度業者に任せてしまう部分もありますが、DIYならすべて自分で自由に作ることができます。
どれぐらいの広さにするか、使う材料はどうするか、さらにはどれぐらい工期をかけるかも自由に決めることが可能です。
誰からも急かされる訳ではないので、自由に作れるのが魅力です。
ただし自由に設計できる分、強度などを無視してしまう恐れがあるのでよく注意してから作るようにしてください。
達成感を得られる
DIYで小屋を作るためには多くの手順が必要となります。
設計、材料調達、道具の調達、施工など、実際に作り始めるまでの前段階の準備が必要です。
これらの多くの手順を終えて小屋を作り終わったとき、自分の手でモノをつくることができた、という達成感を得やすいでしょう。
DIYで小屋を作るデメリット
DIYで小屋を作ることにはメリットだけじゃなく、デメリットもあります。
あらかじめデメリットを理解しておけば、ある程度対策もできます。
デメリットについて見ていきましょう。
時間と労力が必要
DIYで小屋を作るためには多くの時間と労力がかかります。
作業をする前の下準備から実際に作る作業まで多くの手順をこなさないといけません。
さらに小屋を作るための材料だけでなく、ドライバーやインパクトといった工具も必要になります。
小屋を作るのに時間がかかりすぎてしまって飽きてしまい、途中で投げ出してしまっては本末転倒です。
一人で作業せずに家族や友人に応援してもらって作るなどの対策を考えましょう。
もちろん業者に依頼するのもおすすめです。
技術や知識が必要
小屋はDIY初心者が簡単に作れるものではありません。
たとえばDIYで木製の椅子を作るのにも、耐荷重や実際に座る高さや木材の種類、硬さ、幅や厚みなど考えないといけないことがたくさんあります。
並板でつくる簡易的な小屋といっても建物であり、作るためには知識と技術が必要です。
DIYは作るものが大きければ大きいほど難易度が上がります。
DIYの経験があって作れる自信がないのであれば、ムリに挑戦せず業者に依頼するのがおすすめです。
失敗する可能性がある
小屋を作るのはDIYに慣れている人にとっても簡単な作業ではありません。
たとえば6尺(1,820mm)以上の長さのある波板を使って屋根を作るとすると、下手をすると脚立から落下してケガをする恐れがあります。
さらに、強度を考えずに小屋を作るとDIYの途中で倒壊する可能性もあります。
実際に使っているときに倒壊してしまうかもしれません。
失敗しないよう、安全面や強度への配慮をしながら作りましょう。
不安であれば、業者に依頼するのが無難です。
小屋に波板を張り付ける際のポイント
前の見出しで紹介した順に波板を張っても、ポイントをおさえて施工しないと不具合が発生する可能性が高いです。
施工前に押さえておきたいポイントは、以下の4つが挙げられます。
・波板の重ね代
・留め具の間隔と位置
・波板の切断方法
・波板の裏表
これらのポイントをおさえて、不具合発生のリスクを軽減しましょう。
波板の重ね代
波板が1枚で足りない場合は、波板の端の部分を重ねて使用します。
重ね代は、基本的に2.5山以上必要です。
2.5山以上の重ね代がないと、横殴りの雨や雨量が多い時など、繋ぎ目より雨水が浸入する恐れがあります。
降雪量や降水量が多い地域では、3山以上の重ね代があると安心です。
留め具の間隔と位置
波板を設置する際は、留め具の間隔と位置にもポイントがあります。
留め具の間隔は、5山おきを目安に取り付けるのが適切です。
留め具の間隔が5山を超えてしまうと、強風時に波板があおられてバタついてしまい、飛散する恐れがあります。
留め具を取り付ける穴の位置は、かならず山側にあけてください。
谷側に穴をあけると、留め具が施工できないだけではなく雨漏りする恐れもあるため、かならず山側に取り付けましょう。
波板の切断方法
ポリカーボネート波板は、カッターで切断が可能です。
板にフックを取り付ける場合は、穴あけキリで簡単に穴をあけられます。
穴はフックの直径よりも1〜2mmほど大きく開けると、設置がスムーズです。
ただし板金の波板を使用する場合は、素材が固いため電動ドリルで穴をあける必要があります。
波板の裏表
ポリカーボネート波板には裏表があるため、設置時は正しい設置が必要です。
裏表を誤って逆に設置してしまうと、耐久性が低下してしまい劣化スピードが早まる恐れがあります。
ポリカーボネート波板には、一般的に裏表が分かるようシールが貼られています。
念のため、剥がれたときに備えてペンなどで印をつけておくのもおすすめです。
波板を張り付けた小屋の活用方法
波板を張り付けた小屋の活用方法は十人十色でさまざまな使い方が考えられます。
小屋を作ることのできるスペースによって完成物の大きさや形も異なってきます。
波板で作る小屋の使い方について、さっそく見てみましょう。
収納庫
外で使用するモノは、可能であれば家の中には収納したくないという方もいるのではないでしょうか。
そこで、小屋を収納庫として使ってみる、というアイデアもあります。
趣味で使うキャンプ用品やゴルフクラブ、子供が部活で使用する道具、たまに使う高圧洗浄機やほうきなどの掃除道具が収納できます。
小屋を収納庫として使うことで、自宅内に土や砂が入らないようにしましょう。
作業場
小屋を作って作業場として使ってみる方法もあります。
DIYで小屋を作れる人は、モノを自分で作るのが好きという人も多いのではないでしょうか。
作業場を作ると、小屋以外のモノを作る時に雨の日でも作業ができるのが魅力です。
さらに専用の作業場があるとスペースが使いやすいので作業効率が向上します。
他人が入ってこられないようにしていれば邪魔されることもないうえに、安全性の面でも効果が期待できるのも魅力です。
バーベキュースペース
小屋を作ってバーベキュー用のスペースとして活用するのはいかがでしょうか。
壁を作らずに屋根だけがある小屋であれば、換気性も抜群ですし、雨が降ってもバーベキューを中止しなくても済みます。
使い終わった後の道具も小屋の中で整理するだけで済むので、後片付けもラクです。
友人や親戚を集めてみんなでわいわいしたい人におすすめしたい使い方です。
カーポート
車を入れておくためのカーポートとして使用することもできます。
小屋によって車が雨や雪、黄砂などを防ぐことができるので車の汚れが軽減できます。
車を入れようとすると面積が必要になるので大きくなってしまうので、自転車やバイク用の車庫として小屋を作るのも1つの手です。
洗濯物を干すスペースとしても使えます。
人感センサー付きの照明を付ければ夜間でも使える立派なカーポートができあがります。
小屋に適した波板カラー
波板にはさまざまな色があり、使用する色によって雰囲気や快適性が異なります。
小屋作りに適した波板のカラーは、以下の3つです。
・クリア
・ブロンズ
・オパール
おすすめの理由や使用感を確認し、波板選びの参考にしてください。
クリア
クリア(透明色)の波板は、屋根の下を明るくしたい場合におすすめです。
光線透過率が一番高いクリアは、屋根として設置しても日陰を作らず明るい室内に仕上げることができます。
ただし日差しが強いときは、まぶしく感じたり暑くなりやすかったりする点には理解が必要です。
ブロンズ
ブロンズの波板は、落ち着いた印象の小屋に仕上げたい場合におすすめです。
クリアよりも光線透過率が低いものの、適度に光が入るため、程よく屋根の下を明るくしてくれます。
日差しが強いときでも、クリアよりもまぶしく感じることはないでしょう。
オパール
オパール(乳白色)の波板は、明るく清潔感のある小屋に仕上げたい場合におすすめです。
オパールは、クリアやブロンズと異なり中を見えなくする目隠し効果が期待できます。
住宅が密集しているエリアや道路に面した場所ではオパールの使用が適しています。
波板の小屋をより頑丈にする方法
手間暇をかけて小屋を作るのであればできるだけ長く使えるようにしたい、という方もいるのではないでしょうか。
作り方を工夫すれば強度が上がり、より長い期間使用できます。
波板で作る小屋をより頑丈にする方法について解説していきます。
基礎を打つ
家やビルなどの建物を建てるときと同様に、基礎を作りその上に小屋を作ればより頑丈に作ることが可能です。
基礎があれば小屋を固定でき、小屋の柱部分を基礎に固定することで耐震性を強化できます。
他にも基礎の役割としては、建物の重さによる地面が沈下するリスクを減らす効果もあります。
ただし基礎は型枠にコンクリートを流し込んで作る必要があるため、業者にお願いしないと難しいです。
屋根の骨組みをつくる
波板を屋根にただ張るだけでは強度は期待できません。
下手すると台風などの暴風雨によって吹き飛ばされてしまう可能性もあるでしょう。
そうならないために屋根には骨組みを作って波板を固定するようにしましょう。
骨組みを作ること自体は難しくありません。
木材と金物のアングルがあれば製作可能です。
骨組みがあれば屋根の固定箇所を増やすことができ、風雨に対する強度が増します。
さらに柱と柱の間に斜めにクロスさせて木材を通す筋交いを付けると、雪などの垂直の重みに対する強度も期待できます。
壁を作る
並板の小屋をより丈夫にするのであれば、壁を作るのも有効です。
壁があれば横からの風雨を防ぐことができるようになり、中に入れておくモノの保管がしやすくなります。
さらに壁があれば上からの重荷に対する垂直側の力に対する強度も、地震などによる水平側の力に対する強度も高めることが可能です。
使う材料によっては内部が見えなくなるため、防犯性も向上します。
動物や害虫などが入るのを防ぐためにドアを付けたい場合も壁は必要となりますので、作ることを検討してみてはいかがでしょうか。
小屋に波板を張る際の注意点
波板は扱いやすい素材ですが、使用する場合には注意点を知っておく必要があります。
波板を張る際の注意点は、以下の通りです。
・DIY(自作)する場合は耐久性も考慮
・波板の寿命にも考慮が必要
使用してから後悔しないよう、注意点を1つずつ確認していきましょう。
DIY(自作)する場合は耐久性も考慮
DIYで波板を張る場合は、耐久性への考慮が必須です。
台風などの強風で波板が飛んでしまうと、人や物にあたって被害を出す恐れがあります。
DIYで波板を張る場合は、適切に施工して台風が来ても壊れない程度の強度を設ける必要があります。
少しでも不安がある場合は、専門業者である建築板金業者に依頼するのがおすすめです。
波板の寿命にも考慮が必要
波板を張る場合は、波板の寿命にも考慮が必要です。
波板の素材ごとの耐用年数は、以下の通りです。
・ポリカーボネート製:10年
・ガルバリウム製:15〜20年
寿命を超えている場合は不具合発生のリスクが高いため、点検やメンテナンスを実施しましょう。
小屋への波板設置は業者への依頼がおすすめ
小屋への波板設置は、DIYよりも専門業者である建築板金業者への依頼がおすすめです。
DIYでの設置がおすすめできない理由は、以下の3つが挙げられます。
・強度不足により周囲に被害を与える恐れがある
・施工不良により雨漏りが発生する恐れがある
・高所での作業となる場合は、落下によるケガのリスクもある
小屋への波板設置は、しっかりと固定しないと、台風時などに波板が剥がれ周囲へ被害を与える可能性があります。
正しく設置しないと、雨漏りなどの不具合も発生しやすい状況となります。
波板を小屋の屋根など高所に設置する場合は、落下によるケガのリスクもあり危険です。
専門業者が設置した場合、強度が高く仕上がりがきれいなことはもちろん、不具合が発生した場合は気軽に相談もできます。
小屋への波板の設置は、専門業者である建築板金業者へ依頼するのがおすすめです。
波板でおしゃれな小屋に仕上げよう
ポリカーボネート波板は、扱いやすく耐久性に優れた素材のため、DIYで使用する素材としても人気です。
カラーも豊富なため、小屋を作る際も自分好みのおしゃれな小屋に仕上げることができます。
しかし施工方法や施工のポイントを抑えて設置しないと、不具合が発生する恐れがあります。
小屋に波板を張る場合は、建築板金業者に相談するのがおすすめです。
建築板金業者に依頼して、おしゃれな小屋をきれいに仕上げましょう。
内野 友和
この記事は私が書いています。
1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。
20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。