波板コラム
波板のつなぎ目は不具合が発生しやすい?雨漏りを防ぐ張り方を紹介
「DIYで波板の設置を考えているが、つなぎ目をどうしたらいいのか分からない」
「波板のつなぎ目から雨漏りしているが、簡単に直せるのかな?」
波板には個人でも扱いやすい種類があるため、DIYで設置や修理をしようと考える方もいるでしょう。
しかし、波板のつなぎ目は雨漏りの発生など不具合が起こるリスクが高いため、適切に設置する必要があります。
本記事では波板のつなぎ目の基礎知識について解説していきます。
波板の耐用年数や相場、優良業者の見つけ方についても紹介しますので、波板の設置や修理を検討中の方はぜひご一読ください。
Contents
波板につなぎ目ができる理由と発生する不具合
カーポートやベランダの屋根に使うポリカーボネートの波板は、決められたサイズのみの販売であるため指定のサイズを発注できません。
ポリカーボネートの波板サイズは、6尺〜10尺が基本となり、3尺なら6尺を半分に分割して使います。
使用したい大きさにカットして重ねて設置する必要があるため、どうしてもつなぎ目ができてしまうのです。
波板のつなぎ目は、劣化や施工不良などにより隙間があく可能性があるため、雨漏り発生のリスクが高い箇所です。
そのため、つなぎ目から雨漏りが発生しないよう正しい施工が必要となります。
ちなみにガルバリウムの波板は、市販品はサイズが決まっていますが、業務用はmm単位での発注が可能です。
波板のつなぎ目からの雨漏りを防ぐ張り方
波板にヒビや割れがなくても、適切に施工しないとつなぎ目から雨漏りが発生してしまいます。
波板のつなぎ目から雨漏りを防ぐ方法は、以下の3つです。
・重ねしろを設ける
・しっかりと固定する
・板金材を取り付ける
・留め具の穴は山側にあける
波板設置についての正しい知識を身につけ、雨漏り発生のリスクを軽減しましょう。
重ねしろを設ける
2枚以上の波板を使用する場合は、波板と波板のつなぎ目に必ず重ねしろを設けてください。
幅方向の重ねしろは、2.5山以上設けるのが基本です。
横殴りの雨や雨量の多いとき、積雪したときにつなぎ目より雨水が入る可能性があるからです。
屋根の上から下までの長さが3m以上ある場合は、3.5山以上の重ねしろを設けるのが適しています。
他にも、降水量や降雪量の多い地域ではさらに重ねしろを設けるのがおすすめです。
このように、設置する場所の条件によって適切な重ねしろを設けることで、雨漏りのリスクを軽減できます。
しっかりと固定する
波板の固定が甘いとつなぎ目に隙間ができてしまうため、雨漏りが発生しやすくなってしまいます。
波板のつなぎ目からの雨漏りを防ぐには、しっかりと波板を固定することも大切です。
波板を固定する際の留め具は、5山おきくらいの間隔で取り付けるとよいでしょう。
留め具の間隔が5山以上になると、強風のときなど波板が風にあおられてバタついてしまう恐れがあります。
波板がバタつくと最悪の場合飛散する恐れがあるため、しっかりとした固定が必要です。
留め具の穴のサイズは、留め具の直径より1〜2mm大きいと設置しやすくなります。
板金材を取り付ける
波板と壁の隙間からの雨漏りが発生してしまった場合は、自分で修理するよりも建築板金業者へ依頼するのをおすすめします。
波板と壁の隙間からの雨漏りには、接合部分に「へ」の字に折り曲げた板金材を取り付ける方法が効果的です。
上記の修理方法は板金材を特殊加工するため、専門業者である建築板金業者への依頼が適しています。
留め具の穴は山側にあける
谷側に穴をあけると、雨漏りする恐れがあります。
波板の上に降った雨水は谷側を通過して上から流れてくるからです。
雨水が通らない山側に穴をあけて留め具を使うほうが、雨漏りする可能性が低くなります。
また谷側に穴をあけると、留め具が施工できないのも理由のひとつです。
谷側に穴をあけても、留め具が使えず雨漏りする恐れがあると覚えておきましょう。
波板の設置はDIYできるのか?
波板はDIYでも設置できますが、基本的におすすめできません。
ポリカーボネート製とガラスネット入りの塩化ビニル樹脂製の波板は、カッターで切断できるため比較的扱いやすい素材です。
ポリカーボネートの波板にフックを取り付ける場合は、市販の穴あけキリを購入するのがおすすめです。
穴あけキリがあれば、簡単に波板へ穴をあけられます。
ガルバリウム鋼板の波板にフックを取り付ける場合には、材料が硬いので電動ドリルを使用しないと穴があきません。
穴はフックの直径より1〜2mm大きく開けると、スムーズに設置できます。
穴にフックの先端を差し込み、下地に引っ掛けるように取り付けたら完成です。
DIYが得意な人であれば波板を設置できるでしょう。
ただしハシゴなどが必要な高い場所へ設置する場合は、落下によるケガのリスクを伴うため大変危険です。
また波板は適切に設置しないと、施工不良や思わぬ事故を引き起こします。
波板をしっかり固定できていなければ、台風などで波板が飛散する可能性があるのです。
飛散した波板が他人の物を壊してしまったり人に怪我をさせてしまったりするなど、二次災害が発生するリスクもあります。
波板の設置は施工する職人の技術力で仕上がりに大きな差が出るため、専門業者への依頼がおすすめです。
波板の設置を専門業者に依頼するべき理由
DIYでも波板の設置は可能ですが、専門業者に依頼したほうがいい理由について、あらためて詳しく解説します。
・高所での作業になるので危ない
・波板が十分に固定できていない恐れがある
・加工するのが大変
・保管時に荷崩れする恐れがある
それぞれ詳しく解説します。
高所での作業になるので危ない
波板の設置は高所での作業となるため、危険が伴います。
作業中には、波板の上に乗らないように気をつけないといけません。
波板の上に乗ってしまうと、破損によって落下する危険性があるからです。
ハシゴが必要な高い場所の場合には、とくに注意しましょう。
専門業者であれば必要に応じて足場を組み、職人が補修してくれます。
波板が十分に固定できていない恐れがある
DIYで対応した場合には、波板が十分に固定できたかどうか判断できません。
もしも十分に固定できていない場合には、台風などで飛散してしまう可能性があります。
飛散してしまった場合、自分の家だけではなく周囲にも迷惑をかけてしまう恐れがあります。
飛散した波板が周囲の住宅を破損したりけが人を出したりしては大変です。
波板の設置はDIYで対処せず、専門業者に依頼するのがおすすめです。
加工するのが大変
ポリカーボネートの波板はサイズが決まっているため、施工する場合は自分で切って加工しなければいけません。
また、留め具のための穴をあける必要もあります。
とくにガルバリウム鋼板の波板を使用する場合には、個人で加工するのは非常に大変です。
穴をあけるのも電動ドリルなどを使用してあける必要があります。
保管時に荷崩れする恐れがある
DIYで波板を取り付ける場合には、あらかじめ波板を購入して自宅で保管する必要があります。
波板を重ねた状態で保管していると崩れやすくなるので注意が必要です。
とくのポリカーボネートの波板は傷がつきやすく、崩れた場合に傷がついてしまう恐れがあります。
DIYで波板を設置する場合には、設置までの保管場所の確保や保管方法についても考えておlきましょう。
波板のつなぎ目を止める金具の種類
カーポートやベランダ屋根によく使われるポリカーボネートの波板を留める金具について紹介します。
主な金具は下記のとおりです。
・傘釘
・ビス
・ポリカフック
・フックボルトセット
・パイプボルトセット
各金具の詳細について解説します。
傘釘
傘釘(ステンレス)は、面積1平方メートル(1メートル四方)の場合、重さが約1kgで非常に軽量なのが特徴です。
傘釘は、下地が木の場合に使用します。
いろいろある金具のなかでも、軽量で施工性もよいです。
ビス
ビスは、下地が木または金属の場合に使用します。
面積1平方メートル(1メートル四方)の場合、重さが約1kgで非常に軽量です。
傘釘と同じく、軽量で施工性もよいです。
ポリカフック
ポリカフックは、呼び名がメーカーによって異なります。
下地が、アルミ製の場合に使用します。
面積1平方メートル(1メートル四方)の場合、重さが約1kgで非常に軽量です。
傘釘やビスと同じく、軽量で施工性もよいのでDIYにも適した金具です。
既存のアルミ製品によって長さが異なります。
19mm、21mm、23mm、25mmの4種類が主流で、合うものを選択して使用します。
フックボルトセット
フックボルトセットは、下地がL型アングルの場合に使用します。
フックボルトも面積1平方メートル(1メートル四方)の場合、重さが約1kgで非常に軽量です。
軽量で、施工性もよいです。
パイプボルトセット
パイプボルトセットは、下地がパイプの場合に使用します。
面積1平方メートル(1メートル四方)の場合、重さが約1kgで軽量です。
軽量で施工性もよいです。
波板の耐用年数と相場
波板の設置や修理を専門業者へ依頼する場合、どの波板を選べばよいか、費用はいくらかかるのか気になる方も多いでしょう。
依頼前に知っておきたい下記2つのポイントを紹介していきます。
・耐用年数
・費用相場
各波板の耐用年数や費用相場を知り、満足度の高いリフォームを実施しましょう。
耐用年数
波板は種類によって耐用年数が異なります。
種類ごとの耐用年数は、下記のとおりです。
・ガルバリウム:15〜20年
・ポリカーボネート:10年
・トタン:5〜7年
・塩化ビニル樹脂:2〜3年
・塩化ビニル樹脂(ガラスネット入り):4〜5年
波板にはさまざまな種類がありますが、波板プロでは現在ポリカーボネート製の波板を主に取り扱っています。
ポリカーボネート製の波板は機能面や価格面に優れています。
ポリカーボネート波板は、耐用年数である約10年を目途に交換するのがおすすめです。
ガルバリウムの波板は他の波板に比べて高価ですが機能面に優れているため、住宅以外にも工場の屋根に使われることがあります。
トタン・塩化ビニル樹脂・ガラスネット入り塩化ビニル樹脂製の波板は、耐久性など機能面でのデメリットが多いため、現在使用される機会は少ないです。
相場
波板の設置や修理を業者に依頼する場合の費用は、5〜20万円程が相場となります。
波板サイズ6尺の材料費の相場は下記のとおりです。
・ポリカーボネート製(1820mm×655mm):1,500~3,500円程度
・ガルバリウム鋼板製(1820mm×795mm):2,000〜4,000円程度
ポリカーボネート波板の6尺以外のサイズと費用相場は下記のとおりです。
・7尺(幅655mm、長さ2,120mm):1,800〜3,800円程度
・8尺(幅655mm、長さ2,420mm):2,100〜4,100円程度
・9尺(幅655mm、長さ2,730mm):2,400〜4,400円程度
・10尺(幅655mm、長さ3,030mm):2,700〜4,700円程度
屋根の大きさや取り付ける場所、現場の環境などによって費用は大きく異なります。
また、設置場所によっては、10万円程度足場費用が別途必要です。
ほとんどの住宅で一面(とくに南側)にしかベランダ屋根がないため10万円程度の足場費用で済むケースが多いです。
「波板屋根の工事事例と価格」には、実際の工事事例と価格を掲載しています。
設置を検討している方は、設置環境や波板の大きさなど似たようなものを参考に、費用の目安としていただけると幸いです。
波板修理を行う優良業者の見つけ方
波板の修理や設置は、丁寧で安心できる優良業者への依頼が適しています。
波板に関する修理や設置は、屋根・雨樋を工事する「板金業者」の仕事です。
板金業者には自社で施工を行う業者と、下請けに依頼する業者の2パターンがあります。
下請けに依頼する場合は、中間マージンが発生し費用が高くなる傾向にあるため、余計な出費を抑えたい場合は自社施工の業者がおすすめです。
波板修理を依頼する際、優良業者を見つけるポイントについて解説します。
数ある業者のなかから優良業者を見つけるポイントは、下記のとおりです。
・地域密着型で長年営業を行っている業者をチェックする
・相見積もりを行う
・実績が豊富か確認する
・建設業許可を持っているか
・リフォームパートナー協議会(RECACO)に加盟しているか
・自社職人がいるか
・国家資格を取得しているか
ポイントをおさえて、優良業者に波板修理や設置の依頼を行いましょう。
地域密着型で長年営業を行っている業者をチェックする
波板の修理や設置は、地域密着型で長年営業を行っている業者がおすすめです。
地域密着型の業者であれば、地域の気候や特性に合った施工ができます。
不具合が発生したときも、すぐに駆け付けてもらいやすいです。
長年営業している業者であれば、ここ数年でできた業者よりも信頼感があるため、安心して依頼ができます。
地元で長く営業している業者であれば、近所の方から評判を確認できるため、業者選びで失敗するリスクは低めです。
相見積もりを行う
業者選びでは、相見積もりを行うことも大切です。
相見積もりを行うことで、その地域の相場や業者の特徴が分かります。
相見積もりでは、価格を重視するよりも説明の丁寧さなど人柄を重視すると、信頼できる業者に出会いやすいです。
相見積もりは、時間もかかるため多ければ多いほどいいというものではありません。
多くても最大2社で相見積もりを行うのがおすすめです。
実績が豊富か確認する
優良業者を見つけるには、実績が豊富かどうかも確認が必要です。
波板の施工実績が豊富な業者であれば、安心感があります。
さまざまな条件での施工を経験しているため、依頼者の希望を理解してもらいやすいです。
施工実績を知るには、直接質問したりホームページを確認したりしましょう。
建設業許可を持っているか
建設業許可を持っているかどうかも確認しましょう。
たとえば、東京都であれば「東京都知事建設業許可」というものがあります。
相談する業者さんに建設業許可の有無を確認してみるのがおすすめです。
また、ホームページがある業者さんであれば会社概要のところに「許可・資格」などの欄に建設業許可の有無が記載されているケースもあります。
ホームページなどがない場合でも、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」を使えば、対象となる業者が建設業許可をもっているかどうかが検索可能です。
ぜひ、建設業許可を持っている業者かどうか確認してください。
リフォームパートナー協議会(RECACO)に加盟しているか
リフォームパートナー協議会とは、消費者が安心して住宅リフォームを行うことができる環境づくりを目指して設立された一般財団法人です。
地域の住宅リフォーム事業者の技術、技能の向上などを通じて、住宅リフォーム事業の健全な発達を目指し、国土交通省「住宅リフォーム事業者団体登録制度」の登録認定を受けています。
リフォームパートナー協議会では会員に対し、各種講習会を通じてお客様対応から見積書の提出、提案など信頼される業者になることを目指して指導、育成しています。
そのため、リフォームパートナー協議会に加盟している業者であれば、適切な指導、育成を受けている業者です。
リフォームパートナー協議会をはじめとする国土交通省の「住宅リフォーム事業者団体登録制度」に登録している団体に加入しているかどうか確認しましょう。
自社職人がいるか
工事の依頼を「工務店」や「建設会社」「リフォーム会社」へお願いする場合、中間マージンが発生します。
外注職人さんには依頼せず、自社で雇用している職人さんがいる業者がおすすめです。
工事内容にも熟知しており、要望に柔軟にスピード感をもって対応可能だからです。
たとえば、波板プロでは自社が雇用している職人さんが作業をします。
スピード感を持った対応が可能で、品質・管理が行き届く地元密着型の工事会社です。
業者を選ぶときには、自社職人がいるかどうか確認しましょう。
国家資格を取得しているか
施工してくれる職人さんが国家資格を取得しているかどうかも判断材料のひとつです。
たとえば、建築板金技能士、建築施工管理技士という国家資格があります。
どちらも、業界のプロフェッショナルを証明する国家資格で、持っている職人さんに施工してもらえば安心できます。
波板の設置や修理は専門業者への依頼がおすすめ
波板は専門的な工具がなくても取り扱いやすい素材であるため、DIYで取り扱う方もいます。
しかし、波板は決まったサイズの販売しかしていないため、施工する際は必ずといっていいほどつなぎ目ができてしまいます。
波板のつなぎ目は適切に施工しないと、カーポートやベランダなどの屋根に使用した場合、雨漏りが発生しやすい箇所です。
基本的に波板を2枚以上使用する際は、重ねしろを2.5山以上設けますが、設置箇所や環境によってはそれ以上の重ねしろが必要となります。
きれいに仕上げたい方や施工不良が不安な方は、お近くの板金業者へ依頼するのがおすすめです。
内野 友和
この記事は私が書いています。
1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。
20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。