波板コラム

塩ビ波板はどう扱う?特徴やポリカ波板との違いから処分方法まで

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「塩ビ波板を屋根材として使いたいけれど使う場所に適しているかわからない」
「塩ビ波板を使ってDIYを検討しているが個人で扱えるものか知りたい」

そんなあなたへ、塩ビ波板の特徴やメリット・デメリット、購入時のポイントまでご紹介します。

塩ビ波板は安価で入手しやすいため、DIYにもよく利用する建材です。

しかし、長い目でみると塩ビ波板は安いと言えません。

DIYには向いているものの長期利用には向いていないのです。

塩ビ波板の特徴やメリットとデメリットを知ることで、あなたの目的に適した波板かどうかが分かるでしょう。

塩ビ波板とは

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塩ビ波板は、塩化ビニル樹脂でつくられた波状の板です。
塩化ビニル樹脂とは合成樹脂のことで、ポリ塩化ビニルとも呼ばれます。

耐用年数は2〜3年ほどです。
一昔前は、塩ビ波板は駐輪場や物置などの屋根として使用されており、身近な建材として活躍していました。
近年では、より耐久性や扱いやすさに優れるポリカーボネート製の波板が使用されています。

塩ビ波板の種類

塩ビ波板には、素材により下記の2つの種類に分けられます。

・塩化ビニル樹脂製
・塩化ビニル樹脂(ガラスネット入り)製

それぞれにメリット・デメリットがあるので、把握しておきましょう。

塩化ビニル樹脂製

塩化ビニル樹脂製の波板は、塩ビ波板の素材として一般的に使用されています。

カッターでカットできるので、個人でも扱いやすいのが特徴です。

ガラスネット入りの塩化ビニル樹脂やポリカーボネートと比較して、比較的安価な素材である点がメリットとして挙げられます。

しかし、耐用年数が短く劣化スピードが早いです。

長期間使用すると変色や変形がみられるようになり、不具合を引き起こすため定期的なメンテナンスを行わなければなりません。

塩化ビニル樹脂(ガラスネット入り)製

塩化ビニル樹脂の中に、ネット入りのガラス繊維を挟んで作られています。

通常の塩化ビニル樹脂製のものと比較して強度が増しているのが特徴です。

燃えにくい準難燃性の素材であり、延焼しにくい点もメリットとして挙げられます。

耐久性は増していますが、耐用年数は4〜5年と通常の塩化ビニル樹脂製の製品とほとんど変わりません。

塩ビ波板はガラスネット入りの有無に関わらず、定期的なメンテナンスや交換が必要な波板といえます。

塩ビ波板のメリット


塩ビ波板を屋根材として使用するメリットは以下の3つです。

・安価で手に入る
・個人で加工できる
・軽量で他の建材への負担が少ない

それぞれ詳しくご紹介します。

安価である

塩ビ波板は他の波板に比べて安い価格で販売されています。
販売価格の目安は6尺で900円前後です。
価格は安いですが、現在ではポリカーボネート製の波板が主流となっており、塩ビ波板は入手困難になっています。

個人で加工できる

塩ビ波板は「波板切りバサミ」やカッターナイフさえあれば個人で加工できるところが魅力です。
波板切りバサミはホームセンターで購入できます。
塩ビ波板は個人で好みのサイズにカットして作業を行えるからこそDIYに向いているといわれるのです。

軽量で他の建材への負担が少ない

塩ビ波板はとても軽く、持ち上げたり移動させたりする際も苦になりません。
軽いからこそ、塩ビ波板を設置する他の建材への負担が少なくなります。
他の建材への負担が少なければ、重みによる傷みや劣化、歪みを防げるでしょう。

塩ビ波板のデメリット

塩ビ波板を屋根材として利用するデメリットは以下のとおりです。

・劣化しやすい
・耐久性が低い

それぞれ詳しくご紹介します。

劣化しやすい

塩ビ波板は劣化しやすく長期の利用には向いていません。
劣化により柔軟性がなくなり、衝撃に耐えられなくなるのです。そのため割れやすくなります。飛来物があったときには容易に割れてしまうでしょう。

また、色あせや変色もしやすいです。劣化により反りが生じることもあります。
塩ビ波板は安価なため使用されることが多いものの、すぐに交換が必要な状態になってしまうのです。

耐久性が低い

塩ビ波板は他の種類の波板と比べて耐用年数が短いです。
経年劣化が激しいことから長持ちせず、すぐに割れてしまいます。
そのため長い目でみるとコストパフォーマンスが低い波板といえるでしょう。

塩ビ波板とポリカ波板の違い

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波板によく使用される素材としてポリカーボネートが挙げられます。

ポリカーボネートはプラスチック製の素材であり、非常に強度が高いのが特徴です。

塩ビ波板とポリカ波板(ポリカーボネートを使用した波板)の違いを、下記の項目別に紹介します。

・材質
・耐衝撃性
・耐用年数
・使用用途
・価格

さっそく解説します。

材質

塩ビ波板は、塩化ビニル樹脂製とガラスネット入りの塩化ビニル樹脂製の2つが挙げられます。

塩化ビニルを重合させた「ポリ塩化ビニル」と呼ばれるプラスチック製の波板です。

安価で手に入りやすいですが、経年劣化のスピードが早く変色や変形を起こしやすい点に注意しましょう。

ポリカ波板は、塩化ビニルと同様にプラスチック製の素材である「ポリカーボネート」で成型された波板です。

耐衝撃性や強度が強くて容易に加工できます。

塩ビ波板より優れている点が多いため、近年では波板に使われる素材として広く流通しています。

耐衝撃性

塩ビ波板は、ガラスネット入りの有無に関わらず紫外線の影響を受けやすいです。

日焼けなどの熱の影響を受け、変色や変形を起こしてしまうことがあります。

どちらも経年劣化が進行すると割れやすくなるため注意が必要です。

ポリカーボネートの強度はアクリルの30倍、ガラスの200倍と非常に耐衝撃性に優れています。

ポリカーボネートは経年劣化しにくい材質であり、長期間使用しても強度が低下しにくいです。

耐衝撃性の優れた材質を波板に使用したい場合には、ポリカーボネートを選ぶことをおすすめします。

耐用年数

耐用年数とは、通常の用途で使用した場合に本来の効果を発揮できると見込まれた年数のことです。

耐用年数が近づいてきた場合には、定期的なメンテナンスや点検を行う必要があります。

塩ビ波板とポリカ波板に使用される素材の耐用年数は下記のとおりです。

・塩化ビニル樹脂:2〜3年
・塩化ビニル樹脂(ガラスネット入り):4〜5年
・ポリカーボネート:10年

上記の耐用年数はあくまで目安です。

波板の設置されている環境により実際に利用できる期間は変動することを覚えておきましょう。

ポリカーボネートの耐用年数は、塩化ビニル樹脂の倍以上です。

ポリカ波板は、メンテナンス頻度を減らしたい方にぴったりの波板と言えます。

使用用途

塩ビ波板とポリカ波板は屋根材として使用されます。

特にポリカーボネートは、紫外線をカットしつつ光を取り入れられるので、ベランダやカーボートの素材にぴったりです。

一昔前までは塩ビ波板は屋根材として使用されていましたが、現在ではほとんど流通していません。

ポリカ波板やガルバリウム鋼板製の波板など、より優れた素材の波板が屋根材に使用され始めたからです。

ポリカ波板やガルバリウム鋼板は、塩ビ波板よりも耐久性や耐衝撃性に優れています。

波板を屋根材に使用したい場合には、ポリカーボネート製かガルバリウム鋼板製のものを使用するのがおすすめです。

価格

塩化ビニル製の波板は、ガラスネット入りに関わらず入手困難です。

波板屋根を検討するならば、ポリカーボネート製かガルバリウム鋼板製のものを選ぶようにしてください。

それぞれの価格帯は下記の通りです。

・ポリカーボネート製:1,500~3,500円程度
・ガルバリウム鋼板製:2,000〜4,000円程度

6尺(ポリカーボネートは1820mm×655mm、ガルバリウム鋼板は1820mm×795mm)での価格相場です。

どちらも塩ビ波板より高価な傾向にありますが、耐久性が高くメンテナンスコストを抑えられます。

塩ビ波板を購入するときのポイント

塩ビ波板をホームセンターや通信販売などで購入するとき、以下3つのポイントをおさえておきましょう。

・ホームセンターで現物を確認して購入する
・波板は保存状態により変形する
・メーカーにより波の形状が異なる

それぞれ詳しくご紹介します。

ホームセンターで現物を確認して購入する

塩ビ波板を購入する際は、現物を確認しましょう。
色合いや寸法などはイメージと実際のもので大きく異なることがあります。
本当にあなたのイメージどおりの商品かを確認したうえで注文すれば、購入の際に失敗しません。

波板は保存状態により変形する

波板は保存や運搬のときの状態によって、歪んだり膨張したりして形状が変わります。
そのため同じメーカーの塩ビ波板を購入しても、波が合わないということも起こるのです。
重ねたい既存の波板がある場合は現物を持参し、実際に合うかどうかを確認するようにしましょう。

メーカーにより波の形状が異なる

塩ビ波板はメーカーごとに波の形状が異なる場合があります。
そのため形状が違う商品を購入してしまうと波板の設置がイメージどおりにいかなくなるでしょう。

既存の波板を重ねたい場合はメーカーを確認して同じ製品を購入すると、作業時に頭を抱えずに済みます。

塩ビ波板についてよくある質問

塩ビ波板についてよくある質問についてお答えします。

・塩ビやポリカ波板の切り方は?
・塩ビやポリカ波板のサイズ規格は?
・塩ビやポリカ波板の止め方、設置方法は?
・塩ビ波板の処分方法は?
・波板の種類にはどんなものがある?

塩ビ波板やポリカ波板を実際に施工する際のポイントや波板選びのコツも解説していきます。

塩ビやポリカ波板の切り方は?

ガラスネット入りの塩ビ波板やポリカ波板は、カッターで切断できます。

塩ビやポリカ波板を切る際には、下記の点に注意して行うようにしてください。

・ケガをしないように一直線に切断する
・波板にあらかじめ補助線を引いておく
・周りに人がいない広い場所で行う
・ハサミを使用する場合には、根本に力を入れて切断する
・軍手や手袋で手を保護し怪我を防止する

切断する際のカッターやハサミでケガをしないように注意が必要です。

基本的に波板の切断は、危険であり精密さが求められるものです。

よってDIYはおすすめできません。

専門業者に依頼して、切断から設置まで行ってもらうようにしましょう。

塩ビやポリカ波板のサイズ規格は?

波板のサイズ規格は、一定に決められているため必要サイズに合わせてカットしたり重ねたりする必要があります。

ポリカ波板のサイズ規格は下記のとおりです。

・6尺:幅655mm、長さ1,820mm
・7尺:幅655mm、長さ2,120mm
・8尺:幅655mm、長さ2,420mm
・9尺:幅655mm、長さ2,730mm
・10尺:幅655mm、長さ3,030mm

波板の材質によって、サイズ規格が変わるため注意が必要です。

自分が使用したい材質のサイズ規格を確認して、カットする幅と重ねる幅を考えて設置しましょう。

塩ビやポリカ波板の止め方・設置方法は?

塩ビやポリカなどの波板を設置する際には、重なる部分が2.5山以上になるように設置してください。

重なる部分が少ないと、風雨の影響を受けやすいです。

波板を固定する際には、留め具を設置する場所に電動ドライバーやキリで穴を開けて、留め具で固定します。

留め具は5山を目安に設置していきます。

この時留め具は波板の「谷側」でなく、必ず「山側」に設置しなければなりません。

雨水は「谷側」を通り流れていくため、雨漏りを引き起こしてしまうからです。

居住環境によって、重ねる幅や留め具の幅は変動するため注意が必要です。

高所での作業が必要になり危険であるため、専門業者への依頼をおすすめします。

塩ビ波板の処分方法は?

塩ビ波板の素材に使用されている「ポリ塩化ビニル」を焼却すると「ダイオキシン」と呼ばれる毒性ガスを大気中に排出してしまいます。

「ポリ塩化ビニル」は産業廃棄物に該当するので、自治体の産業廃棄物処理業者に依頼して回収してもらいましょう。

危険を避けるためにも、自分での処理は避け、専門業者に廃棄を依頼するようにしてください。

波板の種類にはどんなものがある?

主な波板の種類は下記のとおりです。

・ガルバリウム鋼板製
・ポリカーボネート
・トタン
・塩化ビニル樹脂
・塩化ビニル樹脂(ガラスネット入り)

現在の主流は、ポリカーボネートとガルバリウム鋼板製の2つです。

トタンや塩化ビニル樹脂製の波板は、現在では入手困難です。

ガルバリウム鋼板製の波板は、ポリカ波板より耐久性に優れています。

しかし、比較的高価であり光が遮断されるのがデメリットです。

住宅や工場などの屋根材として使用するのがおすすめです。

一方、ポリカ波板は光を取り入れられるコスパに優れた素材であるため、カーポートやベランダの屋根材に適しています。

DIYの検討にあわせて業者にも相談してみよう


塩ビ波板は個人で扱いやすいためDIYを検討する方が多いかもしれません。
しかし、目的に対して塩ビ波板が適していなかったり、DIYでは難しい作業だったりするとイメージどおりの結果になりません。
失敗して雨漏りするといったリスクを抱えないよう、DIYだけではなく業者への依頼も考えましょう。

上記の動画では塩ビ波板からポリカーボネートへの交換作業をご紹介しています。
参考にしてみてください。

「波板屋根って?ポリカーボネートって?」では、波板に適した素材をご紹介しています。耐久性に優れた素材が欲しい場合はぜひご確認ください。

内野 友和

この記事は私が書いています。

1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。

20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。

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