波板コラム
ポリカーボネートとはどんな素材?メリットやデメリット、用途などを紹介
「ポリカーボネートってどのような素材?」
「ポリカーボネートについて詳しく知りたい」
ベランダやカーポートの屋根を新しい素材に交換する際に、ポリカーボネートを候補に入れる方もいるでしょう。
ポリカーボネートは耐久性があり、景観に馴染みやすいといったメリットがあります。
より詳しくポリカーボネートについて知るためにも、本記事で紹介する以下の情報を見ていきましょう。
・ポリカーボネートの基礎知識
・アクリル・ガルバリウム鋼板との違い
・ポリカーボネートのメリットとデメリット
・主な用途
・使用上の注意点
この記事を読めばポリカーボネートがどのような素材かわかり、リフォームの際の参考になります。
Contents
- 1 ポリカーボネートとは?
- 2 ポリカーボネートの種類
- 3 ポリカーボネートとアクリルの違いとは
- 4 ポリカーボネートとガルバリウム鋼板の違いとは
- 5 ポリカーボネートのメリットとは
- 6 ポリカーボネートのデメリットとは
- 7 ポリカーボネートの主な用途とは
- 8 ポリカーボネートを使用した屋根の施工事例を紹介
- 9 ポリカーボネートの屋根の修理をお得に行う方法
- 10 屋根などに使用するポリカーボネート板の寸法
- 11 ポリカーボネート板の価格とは
- 12 ポリカーボネートを取り扱う際の注意点
- 13 ポリカーボネートの交換を考えるべき劣化症状とは?
- 14 ポリカーボネートの屋根をDIYで修理はおすすめできない
- 15 カーポートやべランダの工事を業者に依頼するなら
- 16 ポリカーボネートを扱う業者の選び方
- 17 ポリカーボネートの歴史
- 18 ポリカーボネートの製法
- 19 ポリカーボネートについてよくある質問
- 20 カーポートやベランダの屋根は耐衝撃性の高いポリカーボネートがおすすめ
ポリカーボネートとは?
ポリカーボネートとは、樹脂を原料としたプラスチックの板です。
透明度が高く、加工がしやすい素材です。
以前まではベランダやカーポートの屋根にはアクリルや塩ビが主流でしたが、今はポリカーボネートがよく使われています。
耐用年数は10年ほどで、ほかの樹脂素材よりも長持ちします。
定期的に水をかけて掃除をするだけでよいので、特別なメンテナンスを必要としません。
ただし、劣化したら塗装やコーキングによる修理ではなく、基本的に新しいポリカーボネートに交換します。
ポリカーボネートの形状には、「平板」と「波板」の2種類があります。
ポリカーボネートの種類
ポリカーボネートの種類は以下の2つです。
・平板
・波板
それぞれの特徴や適した用途について解説します。
平板
平板はスタイリッシュな見た目で、汎用性が高く、耐衝撃性や採光性に優れているのが特徴です。
屋外と屋内のそれぞれに適したタイプがあり、用途によって使い分けができます。
カーポートや看板、バルコニーの腰板、間仕切りに最適です。
波板
波板は断面がウェーブ状で、タイプによって波の幅が異なります。
平板よりも強度が高いといわれており、雨どいと組み合わせて使用されるのが一般的です。
平板と同じく、無色透明や色付きと種類が豊富にあるので、好みに合わせて自由に選べます。
ポリカーボネートとアクリルの違いとは
ポリカーボネートと比較される素材としてアクリルがあります。
アクリルもカーポートの屋根などで使用される素材です。
ポリカーボネートとアクリルの違いについて、下記4つの点について解説します。
・価格相場
・耐用年数
・衝撃への強さ
・加工のしやすさ
それぞれ、詳しく解説します。
価格相場
ポリカーボネートには波板と平板の2種類があります。
波板は6尺(1820mm×655mm)で1,500〜3,500円程度です。
アクリルの材料費は、ポリカーボネートと同程度になります。
初期費用は同程度でも、ポリカーボネートのほうが耐衝撃性に強く破損リスクが少ないので維持費用を抑えやすいです。
加工のしやすさ
アクリルはカットや穴あけ、曲げといった加工のしやすい素材です。
そのため削り出し加工品や箱状のケースなどによく使われます。
一方でポリカーボネートは細かな加工には向いていません。
カーポートの屋根や看板などに板状のまま使用されるケースが多いです。
ポリカーボネートは弾力性のある素材なので、加工時にも割れにくいという特徴があります。
衝撃への強さ
衝撃への強さは、アクリルよりもポリカーボネートの方が高いです。
ポリカーボネートは透明な樹脂の中でもとくに衝撃に強い素材です。
表面に弾力性があることから、加工時や物がぶつかったときでも割れにくくなります。
アクリルは衝撃に弱く、台風や積雪などの影響で破損する恐れがあります。
とくに雪が降る地域や強風が発生する地域では、ポリカーボネートがおすすめです。
耐用年数
ポリカーボネートの耐用年数は10年程度といわれています。
一方で、アクリルの耐用年数は10〜15年程度です。
ただし、物理的な負荷に弱いアクリルは、無理な力や衝撃によって破損する恐れがあります。
耐用年数よりも早いタイミングで交換が必要になる場合があるため、可能であれば不具合がないか、こまめに目視でチェックしてみてください。
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板の違いとは
ポリカーボネートとよく比較される素材にガルバリウム鋼板があります。
ガルバリウム鋼板はカーポートなどで使用される素材です。
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板について比較します。
・価格相場
・耐用年数
・衝撃への強さ
・加工のしやすさ
以上4点について説明します。
価格相場
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板は価格面で違いがあります。
ポリカーボネートには波板と平板があります。
波板は6尺(1820mm×655mm)で1,500〜3,500円程度、平板は10,000円程度です。
ガルバリウム鋼板の6尺(1820mm×795mm)は2,000〜4,000円程度です。
ガルバリウム鋼板の方がやや価格は高い傾向があります。
耐用年数
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板は耐用年数が異なります。
ポリカーボネートの耐用年数は約10年です。
ガルバリウム鋼板の耐用年数は15〜20年ですが、塗装をして耐用年数を伸ばすことも可能です。
その場合は20年を目処に塗装をするとよいでしょう。
衝撃への強さ
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板はどちらも衝撃に強い素材です。
ポリカーボネートは透明な樹脂の中でもとくに衝撃に強い素材で表面に弾力性があるので、加工時や非対物がぶつかったときでも割れにくい特徴があります。
ガルバリウム鋼板はアルミニウムやシリコン、亜鉛を合わせた金属系で衝撃に強い素材です。
加工のしやすさ
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板では、加工時の扱いやすさにも違いがあります。
ポリカーボネートは軽量で、カッターを使用して切断できます。
切断の際はしっかりと固定し、定規などを使用するときれいに切断できるでしょう。
ガルバリウム鋼板を加工するのは少し難しいです。
ガルバリウム鋼板は傷が付きやすいため、業者でも慎重な扱いが求められます。
ポリカーボネートのメリットとは
塩ビやアクリルに代わって使われるようになったポリカーボネートのメリットは、下記のとおりです。
・高い耐衝撃性
・高い耐候性
・自己消火性
・加工しやすい
・軽いので持ち運びがラク
それぞれの内容を解説します。
高い耐候性
ポリカーボネートの大きな強みは、衝撃に対する耐性が備わっている点です。
アクリルの約50倍もの耐衝撃性を持っており、破損しにくいというメリットがあります。
上から物を落としても割れる確率が低いため、飛来物による破損リスクを心配しなくてもよいでしょう。
紫外線に強い
ポリカーボネートは紫外線に強いというメリットもあります。
表面には紫外線からの影響を防ぐために、耐候処理が施されているのです。
透明な素材ながらも紫外線をカットするため、ベランダやカーポートの屋根によく選ばれています。
「屋根の下を明るくしたいけれど紫外線は遮断したい」と思っている方は、ポリカーボネートを取り入れてみるとよいでしょう。
自己消火性
ポリカーボネートには、自己消火性が備わっています。
自己消火性とは、万が一燃えたとしても、火元が離れれば自然と炎が消えていく性質のことです。
万が一、近隣や自宅で火事が起きた際は屋根まで燃え移る危険性があります。
屋根まで全焼すると、修繕には時間もお金もかかるでしょう。
しかし、ベランダ屋根をポリカーボネートにしておくと自然に炎が消えるため、安心度の高い素材としても人気です。
加工しやすい
ポリカーボネートは柔らかい素材なので、加工がしやすく、さまざまな形状に施工できます。
柔軟に形状を変えられるため、屋根以外の用途にも使われています。
カッターで切断できるほどの加工のしやすさです。
現場で加工してもあまり時間がかからないため、工期も短くて済みます。
軽いので持ち運びが楽
ポリカーボネートは非常に軽量です。
個人でも手軽に持ち運びができることも、ポリカーボネートのメリットの1つです。
ポリカーボネートはホームセンターなどで購入して持ち運ぶ際も容易に移動できます。
DIYで使用するときも、加工時の移動や設置時など力を使うことなく動かせます。
ですが、DIYでの作業はリスクが伴うためおすすめできません。
たとえばうまくポリカーボネートを設置できず業者に依頼するなど二度手間になってしまったり、うまく設置できず風で飛ばされてしまい人や物に被害を与えてしまったりするリスクがあります。
ポリカーボネートの扱いは専門の業者にまかせましょう。
ポリカーボネートのデメリットとは
ポリカーボネートにはさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。
デメリットは下記のとおりです。
・アクリルと比べて柔らかい
・溶剤に弱い
・汚れが落ちにくい
それぞれの内容を解説します。
アクリルと比べて柔らかい
アクリルよりも柔らかいため、傷がつきやすいというデメリットがあります。
ポリカーボネートがアクリルと比べて柔らかいため、加工がしやすい点が利点です。
しかし、タオルでこすったり、飛来物が当たったりすると傷がつきやすいです。
施工時や搬入時は傷がつきやすいため注意が必要となります。
耐久性は高いですが、傷だらけにならないように扱う際は気を配るようにしましょう。
溶剤に弱い
ポリカーボネートは、アルコールやガソリンなどの溶剤に弱い素材です。
溶剤が浸透すると、溶けたり白くなったりする可能性があります。
一度劣化すると修繕は難しいので、交換することになるでしょう。
もし洗剤を使って掃除をしたい場合は、成分をよく確認してから使用するようにしましょう。
汚れが落ちにくい
ポリカーボネートのデメリットには、汚れがついてしまうと落とすのが難しいという点が挙げられます。
ポリカーボネートはプラスチック素材で薬品に弱い性質です。
汚れを落とすには薄めた中性洗剤を使用します。
洗い終わったら、水でしっかり洗剤を流すことを忘れないようにしましょう。
ポリカーボネートに汚れがついたら、放置せずにこまめに掃除することが大切です。
ただしカーポートの屋根にポリカーボネートを設置する場合は、汚れても人目に付きにくいため、それほど気にする必要はありません。
ポリカーボネートの主な用途とは
耐久性が高く紫外線にも強いポリカーボネートは、カーポートやベランダなどの屋根で使用されるケースが多いです。
ポリカーボネートのカラーバリエーションは豊富で、用途に合わせてお好みのデザインを選べます。
透明な色が人気ですが、周りからの視線を少しでも隠したい場合はブラウンもおすすめです。
また、ポリカーボネートは屋根以外にも下記のような用途で使用されています。
・車のヘッドランプ
・パーテーション
・高速道路の透光板
・CD、DVDなどの光ディスクの基盤
・スマートフォンのボディ
ポリカーボネートは、透明度が高く衝撃にも強いことからDVDや車のヘッドランプなど光を通しながら割れない素材として活用されています。
ポリカーボネートを使用した屋根の施工事例を紹介
ポリカーボネートを使用した屋根の施工事例は下記のとおりです。
・経年劣化によるリフォーム
・落雪による破損のためのリフォーム
・雪によって割れたためのリフォーム
・雹によって穴が開いたためのリフォーム
・雹によって破損したためのリフォーム
・台風で屋根が飛んでしまったためのリフォーム
・雨漏りがしていたためのリフォーム
それぞれ、画像を交えて紹介します。
経年劣化によるリフォーム
【事例1】
Before
After
こちらのカーポートは経年劣化により、屋根が破損した状態でした。
ポリカーボネートの屋根へのリフォームです。
屋根だけでなく、側面の波板も交換したため、工事後は明るい印象になりました。
側面の波板も含めて作業時間は1日でした。
【事例2】
Before
After
こちらも経年劣化で、駐輪場の屋根をリフォームしました。
波板はポリカーボネートを使い施工しています。
軒先が斜めになっている変則的な屋根ですが、ポリカーボネートの加工のしやすさを活かして工事ができました。
作業時間は1日です。
落雪による破損のためのリフォーム
Before
After
こちらはカーポートの屋根に、家の屋根からの落雪で波板が破損してしまった事例です。
ポリカーボネートの波板を採用し、色はブロンズクリアにしました。
ポリカーボネートは衝撃に強い素材のため、落雪の可能性がある地域などでおすすめしている屋根素材となります。
自家用車を移動して頂いた状態で、波板の交換を行いました。
作業時間は1日です。
雪によって割れたためのリフォーム
Before
After
こちらは、テラスの屋根が雪によって割れてしまったため交換しました。
今後は雪による破損の恐れが少ないポリカーボネート素材の屋根に変更です。
ポリカーボネートの屋根に交換し、色はブロンズクリアです。
交換前は透明度のない屋根だったため日差しが入らない状態でした。
透明性が保てるポリカーボネート素材のブロンズクリアの波板に交換したことで、日差しが入り明るい印象に変化しています。
かかった作業時間は1日です。
雹によって穴が開いたためのリフォーム
Before
After
アクリル製の波板屋根を使っていたところ、雹(ひょう)によって穴が開いてしまった事例です。
今後も雹が降る可能性があるため、衝撃に強いポリカーボネート素材の屋根に交換しました。
波板の色は、ブロンズクリアにしたためアクリル製波板屋根のときと同じように透明性が保たれています。
ポリカーボネート素材の屋根にしたため、今後は雹による被害の心配をしなくても大丈夫です。
作業時間は1日でした。
雹によって破損したためのリフォーム
Before
After
こちらのベランダの屋根は、雹によって破損してしまいました。
雹害とよばれる雹による被害は、雹の大きさが大きいほど落下速度も大きくなり衝撃が強くなります。
今後も雹が降る恐れを考えると、衝撃に強いポリカーボネートの屋根にリフォームするのがおすすめです。
こちらの工事では、火災保険で直すことができたので、お客様の自己負担は発生しませんでした。
波板の色はブロンズクリアです。
かかった作業時間は1日でした。
台風で屋根が飛んでしまったためのリフォーム
Before
After
こちらは、台風被害による波板の交換です。
ベランダテラスの屋根が台風で飛んでしまいました。
波板の色はエンボスクリアを採用しています。
ベランダテラスは2階部分の作業のため、2人で工事をして作業時間は1日でした。
雨漏り補修のリフォーム
Before
こちらは、物置の屋根を交換しました。
築15年のアクリル波板の屋根で、雨漏りしていたための交換です。
アクリルの耐久性は10〜15年程度のため交換目安の時期でした。
波板の色は、ブロンズクリアです。
作業時間は1日となっています。
ポリカーボネートの屋根の修理をお得に行う方法
少しでも費用を抑えて、屋根の修理をしたい方は少なくありません。
ポリカーボネートの屋根の修理をお得に行う方法は、以下を参考にしてください。
・火災保険が適用できないか確認する
・補助金、助成金を適用できないか確認する
・参考:相見積もりの取り過ぎに注意する
それぞれの概要を紹介します。
火災保険が適用できないか確認する
ポリカーボネートの修理に、火災保険が適用できないか確認しましょう。
火災保険は、火災だけでなくあらゆる自然災害によって発生した損害を補償してくれます。
カーポートやベランダの屋根は屋外にあるため、自然災害の被害を受けやすいです。
台風や雹や、雪の影響で、屋根が破損や飛散したなら、火災保険が適用されるかもしれません。
ただし、自宅の火災保険が「風災・雹災・雪災」の補償されていなければ、適用されないので注意しましょう。
火災保険が適用されるかどうかは素人では判断が難しいため、保険会社や代理店に確認するのがおすすめです。
補助金・助成金を適用できないか確認する
補助金や助成金がポリカーボネートの修理に適用できるか確認してみてください。
自治体によっては、カーポートやベランダ屋根のリフォームに補助金や助成金が出る場合があります。
具体的には、住宅リフォームに対する補助金や助成金や耐震工事(屋根軽量化)に対する補助金・助成金などです。
ただし、自治体によって利用できる制度が異なるので注意してください。
気になる方は、自治体の窓口や補助金制度に詳しい業者に相談しましょう。
参考:相見積もりの取り過ぎに注意する
相見積もりを取ることで安価に施工を行ってくれる業者を見つけることができますが、見積もりの取り過ぎには注意しましょう。
見積もり依頼をしすぎると、やり取りの負担が重くなり、色々な業者から見積書をもらったものの「結局どこに依頼すればよいのか決めきれない」となってしまいかねません。
施工費用の安さも大切ですが、それ以上に「この業者や担当者なら安心して依頼できるな」と思えるところに依頼することが、依頼で失敗しないコツです。
相見積もりは多くても2社までにしましょう。
屋根などに使用するポリカーボネート板の寸法
カーポートやベランダ屋根に使用するポリカーボネート板の寸法について解説します。
寸法の変化が起こりにくく寸法精度が高いのが特徴です。
販売されているポリカーボネートの板は、すべてサイズが決められています。
主に展開されている寸法は以下の通りです。
・6尺(幅655mm×長さ1,820mm)
・7尺(幅655mm×長さ2,120mm)
・8尺(幅655mm×長さ2,420mm)
・9尺(幅655mm×長さ2,730mm)
・10尺(幅655mm×長さ3,030mm)
基本的に、6尺以上のサイズです。
3尺が欲しい場合は6尺を半分にして使うため、4尺は8尺を、5尺は10尺をカットして活用します。
そのため、DIYで施工する際に6尺未満のサイズが必要な場合は、自身で計測しながらカットして使用するようにしましょう。
ポリカーボネート板の価格とは
カーポートやベランダなどの屋根に使われるポリカーボネート板の価格について紹介します。
ポリカーボネートの用途はさまざまですが、屋根に使用するポリカーボネート板は平板と波板の2種類です。
屋根によく使われる波板の価格を寸法別にまとめました。
ポリカーボネートの本体価格は、寸法によって異なります。
・6尺サイズ:1,500〜3,500円ほど
・7尺サイズ:1,800〜3,800円ほど
・10尺サイズ:2,700〜4,700円ほど
業者に依頼して施工する場合は、上記の価格に施工費や足場の設置費用などが加わります。
施工箇所によっては足場ではなくハシゴで対応できる場合もあるため、大きな追加費用がかからないケースもあります。
詳しくは業者に見積もりを依頼して確認するようにしましょう。
ポリカーボネートを取り扱う際の注意点
屋根に使用するポリカーボネートの取り扱い注意点についてまとめました。
注意点を、交換する時と交換のタイミングに分けてそれぞれ紹介します。
設置するとき
ポリカーボネートを使用する際は、丁寧に取り扱いましょう。
傷がつきやすい素材のため、運んだり、施工したりする際は注意が必要です。
傷をつけた状態で使い続けると、劣化が早まる恐れがあります。
工事中は傷がないか確認しながら行うとよいでしょう。
ポリカーボネートには表と裏があります。
向きを間違えると、本来の耐衝撃性を発揮できません。
表面を太陽が当たる方に向けて、注意書きが記載されているシールがある裏面を地面に向けます。
施工する際は間違わないようにしましょう。
交換のタイミング
交換のタイミングも見逃してはいけません。
耐用年数が過ぎていたり、経年劣化を放置したりすると、ポリカーボネートが傷んで落下する恐れがあります。
留め具が浮いていたり、屋根材にヒビが入っていたりする場合は劣化がはじまっている証拠です。
劣化が見られる場合は、一度業者に点検してもらうと安心です。
次のような劣化症状が確認できた場合は、業者への依頼を検討しましょう。
ポリカーボネートの交換を考えるべき劣化症状とは?
ポリカーボネートは耐久性・耐候性に優れていますが、その効果は半永久的ではありません。
そのため、交換の目安を把握するのが大切です。
以下のような劣化症状が発生したら、ポリカーボネートの交換を考えましょう。
・経年劣化
・ヒビ、割れ
・留め具の浮き
それぞれの劣化症状を解説します。
経年劣化
ポリカーボネートの耐用年数は約10年です。
耐用年数が過ぎると、強度が低下して壊れやすくなります。
ポリカーボネート自体の強度が低下すると、ほんの小さな衝撃でも屋根が破損したり、穴が空いたりします。
ただし波板の状態が悪かったり、破損箇所が目立ったりすると耐用年数が短くなる場合もあるので注意しましょう。
見た目がきれいでも、紫外線や雨風にさらされているため確実に経年劣化は進行しています。
あくまでも耐用年数は目安であるため、定期的に専門業者によるメンテナンスをおすすめします。
ヒビ・割れ
ポリカーボネートにヒビや割れを見つけたら、交換を検討しましょう。
耐久性や耐衝撃性に強いのがポリカーボネートの特徴ですが、経年劣化によりヒビや割れができやすくなります。
また、ポリカーボネートが割れるのは「ケミカルクラック」も原因の1つです。
ケミカルクラックとは洗剤やエタノールが付着すると化学反応により、ポリカーボネートが割れることです。
ヒビや割れをそのまま放置すると、破損や雨漏りが起こりやすくなります。
留め具の浮き
波板の留め具は、経年劣化や台風や大雨などの自然災害によってネジが緩むリスクが高まります。
ネジが緩んだまま放置をすると、屋根の隙間から雨漏りが発生したり、強風によって波板が破損したりするかもしれません。
雨漏りの被害を避けるためにも、専門業者に定期的に留め具の緩みを確認してもらいましょう。
ポリカーボネートの屋根をDIYで修理はおすすめできない
ポリカーボネートの屋根をDIYで修理するのはおすすめしません。
素人が無理にDIYで直そうとしても、作業に不慣れな場合はケガをしたり、完全に修理できなかったりします。
高所作業は転落するリスクも高く、非常に危険です。
修理費用を抑えようとDIYに挑戦しても、修理がきちんとできなければ、損害が拡大して修理費用がかえって高くなるかもしれません。
余計な出費をしないためにも、専門業者に修理を依頼しましょう。
カーポートやべランダの工事を業者に依頼するなら
カーポートやベランダにポリカーボネートを取り付けるときは業者に依頼するのがおすすめです。
DIYでの作業は危険が伴ったりうまく設置できなかったりするため初心者には難しいです。
ポリカーボネートの施工を行ってくれる窓口は、一般的には以下が挙げられます。
・建築板金業者
・ホームセンター
・リフォーム会社
1つずつ詳しく説明します。
建築板金業者
ポリカーボネートの施工を依頼するなら建築板金業者がおすすめです。
建築板金業者は板金をメインに営業している業者です。
ポリカーボネートの扱いにも慣れているところがあるため信頼感があります。
建築板金業者に直接依頼することにより外注費用がかからないため中間マージンの発生を防げます。
ネット検索や口コミを参考にして業者を選びましょう。
ホームセンター
ポリカーボネートの施工はホームセンターでも依頼できます。
多くのホームセンターでは、カーポートなどの施工の相談に対応してくれます。
有名なホームセンターであれば安心感もあり、メリットの1つです。
一方デメリットは費用の高さと施工品質のばらつきです。
ホームセンターは依頼を受けると、下請け業者に施工をまかせます。
この際に中間マージンが発生し、直接業者に依頼するよりも費用が高くなりがちです。
また、施工にくる業者の技術力は実際に来てみないとわかりません。
リフォーム会社
リフォーム全般を扱っている会社でも、ポリカーボネートの施工を依頼できます。
リフォーム会社はホームセンターよりも建築に特化しているので、専門性は高いです。
しかし実際の作業を下請け業者にまかせるケースがあるので、中間マージンが発生しやすいです。
ポリカーボネートを扱う業者の選び方
ポリカーボネートを扱う業者はどのように選べば良いのかでしょうか。
業者を選ぶ際に、チェックしてほしいポイントは以下のとおりです。
・建設業許可を保有しているか
・地域密着型で営業をしているか
・リフォームパートナー協議会に加盟をしているか
・自社職人がいるか
・国家資格を所有した職人がいるか
それぞれのポイントを解説します。
建設業許可を保有しているか
ポリカーボネートを設置する際に、建設業許可は必要ありません。
しかし、建設業許可を取得した業者は経営が安定していたり、技術力を持っていたりと信頼できる業者といえます。
建設業許可を取得するには、以下の条件を満たさなければなりません。
・建設業務の管理責任者を設置する
・専任技術者が在籍している
・安定した資金調達ができる
建設業許可を維持し続けるためには更新が必要です。
地域密着型で営業をしているか
地域密着型で営業しているかどうかもポイントの1つです。
住まいから業者が近ければ、相談したい時にすぐに来てくれたり、担当者が頻繁に工事の様子を見に来てくれたりします。
地域の特性も熟知しているので、信頼関係を築きやすく、安心して依頼することが可能です。
地域で長く営業している業者は、大きなトラブルがなく地元に愛され、地元の信頼を得て安定的に仕事ができているといえます。
リフォームパートナー協議会に加盟をしているか
業者選びに失敗したくないなら、リフォームパートナー協議会に加盟している業者を選びましょう。
リフォームパートナー協議会とは、信頼される業者の育成を目的として国土交通省によって創設された制度です。
建設業許可や国家資格の取得などが加盟条件で、加盟中の業者は技術や接客マナーに関する講習に参加しなければなりません。
リフォームパートナー協議会の公式サイトから加盟中の業者を探せます。
気になる方は、事前にチェックしてください。
自社職人がいるか
業者を選ぶ際は、自社職人がいるかどうかもチェックしましょう。
自社職人が工事を担当すれば、下請け業者が入らず中間マージンが発生しません。
コストを抑えながらも、高品質な工事ができます。
また、打ち合わせから工事に関する相談を直接できるので、スムーズにやり取りが可能です。
国家資格を所有した職人がいるか
建築板金技能士や施工管理技士など、国家資格を取得しているかどうかも業者を見極めるポイントです。
悪質業者やいい加減な工事をする業者の中には、専門知識や施工技術を持たない無資格の業者である場合もあります。
一方で国家資格を所有した職人がいる業者は、社内全体で技能レベルの向上や工事に関する責任感を表しているといえます。
ポリカーボネートをはじめとした屋根材の設置に適した主な資格は以下のとおりです。
・建築板金技能士
・施工管理技士
・建築士
資格を取得するには専門知識と実務経験が必要なため、高品質な工事が期待でき、安心して依頼できます。
ポリカーボネートの歴史
ポリカーボネートは1898年にドイツの科学者によって発見された素材です。
その後長い間商品化されず、実際にポリカーボネートが販売されたのは1958年と言われています。
日本では1960年ごろから生産が始まりました。
現在では年間で約30万トンが生産されています。
ポリカーボネートの製法
ポリカーボネートはホスゲンとビスフェノールAという分子から作られているものです。
製造方法は数種類あり、それぞれホスゲンとビスフェノールAの配分が異なります。
ポリカーボネートの約80%はホスゲン法で製造されています。
ホスゲンは有毒な物質ですので、近年はホスゲンを使用せずにポリカーボネートを製造する方法も研究されるようになりました。
ポリカーボネートについてよくある質問
ポリカーボネートの疑問点を紹介します。
・ポリカーボネートがよく使われている場所は?
・ポリカーボネートが割れることはあるの?
・カーポートや屋根に設置するならどの素材がおすすめ?
・ポリカーボネートだと下が暑くなりやすい?
各疑問への回答をみてみましょう。
ポリカーボネートがよく使われている場所は?
ポリカーボネートはカーポートやベランダ以外でも使用されています。
代表的なものを紹介します。
【スマートフォン】
スマートフォンのボディにはポリカーボネートが活用されているものがあります。
ポリカーボネートの強度が高く変形しにくいといった特徴を活かした使用例です。
また、スマートフォンのケースに使用されることも多いです。
【CD・DVD】
CDやDVDの原材料にはポリカーボネートが活用されています。
こちらもポリカーボネートの強度を生かした用途例です。
【サングラス】
サングラスのレンズの素材はアクリルが使用されることが多いですが、ポリカーボネートもよく使用されています。
ポリカーボネートは衝撃に強いので、スポーツタイプやフチなしのサングラスに採用されることが多いのが特徴です。
ポリカーボネートが割れることはあるの?
ポリカーボネートは耐久性の高い素材ですが、場合によっては割れることもあります。
ポリカーボネートは薬品に弱い素材です。
洗剤に入っている薬品やアルコールをかけて放置すると、ポリカーボネートが割れることがあります。
このような現象のことをケミカルクラックといいます。
ポリカーボネートを洗浄する際は、中性洗剤をさらに薄めて使用するなど工夫が必要です。
多少の衝撃では割れることのないポリカーボネートですが、普段何気なく使用している洗剤がかかって放置すると割れることもあるので注意しましょう。
カーポートや屋根に設置するならどの素材がおすすめ?
ポリカーボネートはカーポートやベランダにおすすめの素材です。
カーポートやベランダの屋根に使用される素材としてアクリルがあります。
ポリカーボネートとアクリルは価格面ではあまり差がありません。
しかし、ポリカーボネートの方が燃えにくくて熱に強いなど優れている点が多く、コストパフォーマンスが高いです。
ガルバリウム鋼板もカーポートやベランダによく使用される素材です。
ポリカーボネートと異なりガルバリウム鋼板は光を遮ってしまうため、ベランダの屋根として使用する場合に大きなデメリットとなります。
ポリカーボネートは他の素材と比べてもおすすめできます。
ポリカーボネートだと下が暑くなりやすい?
ポリカーボネートは光を通す素材なので、ポリカーボネートの下は暑くなりやすいです。
ポリカーボネートの暑さ対策として、熱線カットタイプの活用が挙げられます。
熱線カットタイプのポリカーボネートは遮熱効果があるため、通常のものよりも温度が高くなりにくいです。
ポリカーボネートの色を変えることでも暑さを和らげることができます。
通常よりもやや暗めの色にすると、日差しを遮ることができるので気温がやや下がります。
温度の上昇が気になる方は検討してみましょう。
カーポートやベランダの屋根は耐衝撃性の高いポリカーボネートがおすすめ
現在、ベランダやカーポートの屋根への施工で主流となっているポリカーボネートは、耐衝撃性に優れています。
飛来物によって破損するリスクが少ないポリカーボネートは、特にカーポートやベランダの屋根におすすめです。
素材選びに悩んだら、ポリカーボネートを検討しましょう。
注意点としては、柔らかい素材のため傷がつきやすいことです。
傷がつくと本来の耐衝撃性を発揮できない場合もあるため、少しでも扱いが難しいと感じたならば施工は業者に任せるのが得策です。
交換のタイミングさえ適切に行えば、快適に使い続けられるでしょう。
「波板プロ」では、ポリカーボネートを使用した工事を数多く手がけています。
取り扱いには慣れているため、ぜひお気軽にご相談ください。
内野 友和
この記事は私が書いています。
1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。
20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。