波板コラム

波板の種類にはどのようなタイプがある?メリットやデメリットも詳しく解説!

波板(ポリカ)7

屋根の施工に波板を使用したいと考えた際、まずは種類選びに困るでしょう。
そもそも、波板にはどれくらい種類があるのか分からない人も多いはずです。

「波板の種類が知りたい」
「波板の種類ごとの、メリットやデメリット、適した使用方法などが知りたい」

このような疑問を持つあなたへ、この記事では波板の種類とそれぞれの特徴を紹介していきます。
種類ごとのメリットやデメリットを知ることで、目的に合った波板がどれなのかがわかるでしょう。

 

波板の種類

波板の素材には、以下の5種類があります。

・ポリカーボネート製
・ガルバリウム鋼板製
・トタン製
・塩化ビニル樹脂製
・塩化ビニル樹脂(ガラスネット入り)製

それぞれの種類のメリットやデメリット、どんな施工に向いているかを紹介します。
なお、現在は入手困難となった「トタン」「塩化ビニル樹脂」「塩化ビニル樹脂(ガラスネット入り)」は弊社では使用していません。
カーポートやベランダ屋根などの新規の工事では、基本的にポリカーボネート製がおすすめです。

 

ポリカーボネート製

波板(ポリカ)3

ポリカーボネートは、合成樹脂の一種で、透明性や耐衝撃性に優れているため人気の高い種類となっています。
ポリカーボネート製のメリットは、透明性や耐衝撃性、耐紫外線に優れていることです。
紫外線の影響を受けやすいテラスやバルコニーの屋根の施工に向いています。

また、価格変動が小さく機能面でもメリットが多いため、弊社では波板の施工時は基本的にポリカーボネート製のみを使用しています。
ひとつデメリットを挙げるとすれば、ほかの種類と異なり裏表があることでしょう。
裏表を誤って使用してしまうと、本来の耐衝撃性や耐紫外線などの機能が十分に活かせません。

 

ガルバリウム鋼板製

ガルバ波板1

ガルバリウム鋼板製は防食性のメッキを施してあり、最も高価な種類となっています。

ガルバリウム鋼板製のメリットは、耐食性や耐熱性に優れているため長持ちすることです。強度があり寿命が長いことから、住宅や倉庫、工場の屋根に使われます。また、錆びに強いので海岸沿いの家屋の施工にも向いています。

ガルバリウム鋼板製のデメリットは、5種類のなかで最も高価なことでしょう。
ただし、納得の強度と寿命を得られるため、決して損をするような価格ではありません。

 

トタン製

トタン波板3

トタン製は亜鉛メッキが施された、耐性に優れた種類です。
薄い鉄で作られており、真っ直ぐな形状の板よりも波状の方が強度が増します。

トタン製のメリットは、耐久性が高いことが挙げられます。
ただし、最近では入手が困難となっているため、施工で取り扱うことが難しいというデメリットがあります。また、錆びやすいことも大きな弱点となるでしょう。
屋根材や囲いとして幅広く利用されてきましたが、現在はほとんど使われていません。

もしトタン製の波板の使用を検討されている場合、代わりとして耐久性の高いガルバリウム製やポリカーボネート製をおすすめします。

 

塩化ビニル樹脂製

塩ビ

塩化ビニル樹脂は合成樹脂の一種で、安価な素材です。
個人でも扱いやすいことが、塩化ビニル樹脂製のメリットといえます。

ノコギリでカットできるため、DIYでも扱いやすいです。
また、ほかの種類に比べて安価なためお財布にも優しいでしょう。

ただし、耐久性が低く劣化しやすいことがデメリットです。
長期の使用を検討している場合は、耐久性の高い種類を選びましょう。

 

塩化ビニル樹脂(ガラスネット入り)製

塩化ビニル樹脂(ガラスネット入り)製は、名前のとおり、塩化ビニル樹脂の中にネット状のガラス繊維を挟んだ板です。

ネット状のガラス繊維を挟んで作ることにより、普通の塩化ビニル樹脂製よりも強度が増していることがメリットです。
準難燃性の認定も受けており、安全な素材となっています。
準難燃性とは、建築基準法で定められた、延焼しにくい素材の認定のことです。

しかし、通常の塩化ビニル樹脂製よりも個人で扱うことが難しいというデメリットがあります。
また、耐久性が増したといっても、塩化ビニル樹脂製よりも寿命が数年ほどしか延びていません。

 

波板の規格サイズの種類

ガルバリウム鋼板の波板

波板には、6~10尺といったさまざまな規格サイズがあります。
ポリカーボネート製の鉄板小波波板の場合は、6尺サイズの長さが1,820mmで、幅は655mmです。
尺数が大きくなると長さは増えますが、幅は変わりません。
ポリカーボネート製の波板の縦の長さは、尺数によって以下のように変わります。

・7尺:2,120mm
・8尺:2,420mm
・9尺:2,730mm
・10尺:3,030mm

ちなみに、波板の既製品には以下のサイズがありません。

・3尺
・4尺
・5尺

そのため、3尺の波板が必要であれば6尺を、4尺の場合は8尺を半分にして使用するようにします。
また、波板は同じ尺数でも素材が変われば大きさが変化します。
ガルバリウム鋼板製の鉄板小波波板では、6尺の規格サイズは長さが1,820mmで、幅が795mmです。
ただし、幅はメーカーによって異なる場合があります。
ポリカーボネート製と長さは同じですが、幅は広くなっています。
素材によってサイズが異なる点を覚えておき、必要な波板の枚数を計算するようにしましょう。

 

波板の種類別の耐用年数

トタン波板4

波板は素材の種類によって耐用年数が異なります。
波板の代表的な素材の耐用年数は、以下のとおりです。

・ポリカーボネート:10年ほど
・ガルバリウム鋼板:15~20年
・塩化ビニル樹脂:3~4年
・ガラス入り塩化ビニル樹脂:4~5年

上記の耐用年数はあくまでも目安です。
波板が設置してある環境によっては、長くもなれば短くもなります。
ただし、現在は塩化ビニル樹脂製とガラス入塩化ビニル樹脂製の波板はほとんど使われていません。
そのため、新しく設置される波板の耐用年数は10年ほど持つ場合が多いでしょう。

 

波板の種類別の本体価格

費用

波板の本体価格を紹介します。
波板の本体価格は、6尺のポリカーボネート製で1,500~3,500円程度です。
ガルバリウム鋼板製の場合は2,000〜4,000円程度が相場となります。
また、ポリカーボネート製の波板のサイズ別の価格は、以下の通りです。

・7尺:1,800〜3,800円程度
・8尺:2,100〜4,100円程度
・9尺:2,400〜4,400円程度
・10尺:2,700〜4,700円程度

業者に工事を依頼する場合の費用は、一般的に【波板1枚の価格×必要枚数+施工費】となります。
そのため、波板の本体価格の相場をあらかじめ把握しておくと、見積書を受け取った際に適正価格が判断しやすくなるでしょう。
ただし、業者や使用する波板によって価格は変動します。
工事費用について気になる点があれば、まずは業者に確認するようにしましょう。

 

施工する波板屋根の種類を選ぶ際のポイント

波板を重ね1

施工する波板屋根の種類を選ぶ際は、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。

・耐久性の高さ
・施工のしやすさ
・テラスで使用したい場合
・ベランダで使用したい場合

それぞれのポイントの具体的な内容を、以下で解説していきます。

 

耐久性の高さ

耐久性の高さで波板を選ぶならば、ガルバリウム鋼板製がおすすめです。
ガルバリウム鋼板製の波板は耐用年数が15~20年と長いです。
さらに、外部からの衝撃にも強いつくりとなっています。
また、耐用年数が長いためメンテナンスの頻度も抑えられます。
ただし、1枚あたりの価格がほかの素材の波板に比べて高めです。
しかし、初期費用はかかりますが、交換する時期を延ばせるため、将来的な工事費用を抑えられるでしょう。

 

施工のしやすさ

施工のしやすさでは、ポリカーボネート製が一番です。
ハサミでカットできるので、DIYでも加工しやすいです。
ガルバリウム鋼板製の波板もDIYで使用できますが、カットするには電動ノコギリが必要です。
そのため、作業中はケガに注意しておかなければいけません。
もし、ガルバリウム鋼板製の波板を自分でカットする自信がない場合は、ホームセンターのカットサービスを使うとよいでしょう。

 

テラスで使用したい場合

波板をテラスの屋根に使用したい場合は、太陽光の透過率が高いため日光を取り入れられるポリカーボネート製を推奨します。
ただ、日光を取り入れると、冬場は暖かいですが夏場は暑くなりやすいので、快適に過ごせない場合があるでしょう。
熱が心配な場合は、熱反射率の高いガルバリウム鋼板製も検討してみるといいでしょう。
ガルバリウム鋼板製の波板は太陽光を通しにくいため、屋根の下の温度上昇を抑えてくれます。

 

ベランダで使用したい場合

ベランダの屋根に波板を使用したい場合は、耐久性のあるポリカーボネート製やガルバリウム鋼板製がおすすめです。
特に、ベランダで洗濯物を干したり、植物を育てたりしたい場合は太陽光の透過率が高いポリカーボネート製がおすすめです。
反対に、ベランダ内への太陽光の侵入をできるだけ防ぎたい場合は、ガルバリム鋼板製の波板の使用がおすすめです。

 

波板を固定する留め具の種類

代表的な波板の留め具

波板を固定するための留め具には、さまざまな種類があります。
留め具には、主に以下の5つのタイプがあります。

・ビス
・ポリカフック
・傘釘
・フックボルト
・パイプボルト

以下にて、それぞれの留め具の特徴や施工に適した下地タイプを紹介していきましょう。

 

ビス

ビスタイプの留め具は、しっかりと固定しやすいようにらせん状の溝がネジ部分に刻まれています。
下地が木製や金属製の場合に使用します。
また、下地によってビスの種類が異なるので間違わないように選びましょう。

 

ポリカフック

ポリカフックタイプは、その名の通りポリカーボネート製の留め具です。
ポリカーボネートが原料なので、耐久性に優れています。
先はフック状になっており、下地にしっかりと固定できるようになっています。
ポリカフックは下地がアルミ製の場合に使用するタイプです。
また、下地の幅に合わせて施工できるように、フックの長さに複数のサイズがあるのが特徴です。
ポリカフックを使用する場合は、必ず下地の幅を測定してからフックの長さを選びましょう。

 

傘釘

傘釘は、留め具と波板の隙間から雨漏りが発生するのを防ぐために、傘に似た抑え材がついた釘です。
釘自体はステンレス製で、下地が木製の場合に使われます。

 

フックボルト

フックボルトタイプは、金属製の留め具で先がフック状になっています。
波板屋根の下地がL状のアングルの場合に使われます。
カタカナの「レ」の形に先端が曲がっているのが特徴です。

 

パイプボルト

パイプボルトは、波板屋根の下地がパイプタイプの際に使用する留め具です。
先端が釣り針のような形に曲がっており、パイプに引っかけるようにして固定します。

 

波板屋根を施工する際に確認しておきたい注意点

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波板屋根を施工する際は、以下の3つの注意点に気をつけておきましょう。

・下地に合った留め具を使用する
・価格で波板を選ばないようにする
・施工は実績豊富な業者に依頼する

以下にて、注意点の内容を詳しく解説していきます。
波板屋根を施工する前に、ぜひチェックしてみてください。

 

下地に合った留め具を使用する

波板屋根を施工する際は、必ず下地に合った留め具を使用するようにしましょう。
下地に適していない留め具を使用すると、波板屋根の耐久性が下がります。
適した留め具で波板を固定していないと、台風や大雨の際にずれて破損したり、飛ばされたりする場合があるためです。
また、波板屋根がしっかりと固定されていないと、雨漏りも起こりやすくなるでしょう。
さらに、風で飛ばされた波板が人や車などにぶつかると賠償問題にもなります。
波板屋根による事故を防ぐためにも、下地に合った留め具でしっかりと固定することが大切です。

 

価格だけで波板の種類を選ばないようにする

波板の種類を選ぶ際は、本体価格の安さだけで決めないようにしましょう。
価格の安さだけで選ぶと、色がマッチしなかったり、快適ではなかったりするためです。
波板屋根の施工には5~20万円ほどかかります。
そのため、工事後に種類を変更したいと思っても、予算的に難しい場合もあるでしょう。
すぐに再施工をしなくていいように、波板の種類は価格だけでなく機能性も考慮した上で決めるとよいでしょう。

 

施工実績の豊富な業者に工事を依頼する

波板屋根は施工実績の豊富な業者に工事を依頼すると安心です。
波板屋根はDIYで施工できる場合もあります。
しかし、失敗すると事故につながる恐れもあるため、専門業者に依頼するのをおすすめします。
また、波板屋根を施工する際には守らなければいけないルールが多数あるのです。慣れない人がDIYすると失敗しやすいため、少しでも不安な方は専門業者に相談するようにしましょう。
波板屋根の施工時には、以下の4つのようなルールがあります。

・留め具は必ず山側に設置する
・5山おきに留め具を固定する
・波板の重ね代は2.5山以上にする
・波板交換時は下地の状態も確認する

留め具を波板の山側に設置する理由は、谷側に穴をあけると雨漏りの原因になるためです。
2枚以上の波板を使用する場合は、板の端同士は2.5山以上重ねるようにすると耐久性を維持できます。
ただし、留め具を5山おきに固定したり、波板の重ね代を2.5山以上にしたりするのはあくまでもルール上です。
強風が吹きやすい地域の場合は、周辺の環境によって施工方法が異なります。
このように、さまざまあるルールを完璧にクリアするのは、DIY初心者には難しいでしょう。

さらに、波板屋根の工事は高所での作業になるため、転落事故が起きる危険性もあります。
そのため、波板屋根の施工は無理をせずに工事に慣れたプロの業者に依頼するのがおすすめです。
台風や大雨のときでも耐久性に問題ない波板屋根に仕上げてくれます。

 

施工する波板の種類はメリットとデメリットを確認して選ぼう

波板(ポリカ)6

施工する波板を選ぶ際は、メリットとデメリットを確認することで適切な種類を選べます。
波板を使用する目的や長持ちしてほしい年数を明確にすると、種類選びで迷わずに済むでしょう。

波板の種類が決まれば、あとは業者へお願いしたり個人で仕入れたりと次のステップに入れます。
どうしても扱う波板の種類を決められないという場合は、弊社へご相談ください。

「波板屋根って?ポリカーボネートって?」では、波板に適した素材をご紹介しています。耐久性に優れた素材が欲しい場合はぜひご確認ください。

内野 友和

この記事は私が書いています。

1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。

20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。

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